『14歳までの犯罪』(畑野智美)_書評という名の読書感想文

『14歳までの犯罪』畑野 智美 角川文庫 2026年2月25日 初版発行

ベストオブ喰らった本!! こんなにも心をえぐってくるのか、畑野智美。

幻の傑作、10年の時を経て文庫化

勉強も部活も恋愛も、のめり込めるものがなく退屈な毎日を送る中学2年生の美羽。このまま10代前半の日々を終わらせるのはもったいないと感じていたところ、同じ思いを抱える幼なじみの紗弥から万引きに誘われる。今を変えるには 「スリル」 が必要だ。紗弥と共にクラスの一軍女子グループと夜の街へと繰り出した美羽は、小さなスリルを重ねるうちにクラスメイトたちの秘密を知ってしまう。それは静かに美羽を高揚させ - 。(角川文庫)

※本書は、2015年8月に新潮社より刊行された単行本 『みんなの秘密』 を加筆修正のうえ、改題し文庫化したものです。

見た目やスタイルの良し悪しなどは言うに及ばず、親の仕事は何だとか、家が金持ちだとか貧乏だとか、住んでいるのはマンションだとかアパートだとか・・・・。思うことや気に病むことは山ほどあるけれど、14歳 - 中学2年生の毎日は基本家と学校の往復で、たまに時間があったとしても、暇で刺激がないのは相も変わらずで - それを美羽が 「もったいない」 と思う気持ちはとてもよくわかります。(誘いに乗って万引きするかどうかは別にして)

なるほどあのころクラスの女子の大方はこんなふうに、誰かと誰かの間を行き来しつつ、気になる誰かにへつらい、時には別の誰かと迎合し、表の顔と裏の顔とを使い分けながら、たえず気を張っていたのだと。キョロキョロと、びくびくとしながら。

あの頃、一番必要だったのは自分の 「居場所」 だったと思います。居場所が決まると、次はみんなして如何に 「スリル=刺激」 を味わうかです。その “体験“ が重要でした。躊躇ってはいけません。仲間外れにされて、たちまち居場所を失くしてしまいます。

どこにでもいる中学二年生たちが送る日常。それだけを描いているのに、生々しくて苦しくなる。この子たちがどうなるのか怖すぎて、ページをめくる手が止まらない。終盤に突きつけられる事実を理解できたとき、「私」 への問いに変わって、張り手を喰らったかのように打ちのめされました。こんなにも動揺させられた読書ははじめて、忘れたくても忘れられない一冊になることを保証します! ( 交渉の末に出版権を獲得、文庫化を成し遂げた担当者Aさんのコメント)

※14歳。中学2年生といえば、女子も男子もその大方が、おそらく “ナルシスト“ の極致のような頃ではなかったでしょうか。自分は特別だと感じ、周囲からの注目や賞賛を求め、自分の話をするのが大好きで、そのくせ他人にはさほど興味がない。そのうえ批判や否定されることを極度に嫌います。自分のことを考えるだけで精一杯だった - そういうころだったと思います。

この本を読んでみてください係数 85/100

◆畑野 智美
1979年東京都生まれ。
東京女学館短期大学国際文化学科卒業。

作品 「国道沿いのファミレス」「海の見える街」「南部芸能事務所」シリーズ「水槽の中」「神さまを待っている」「消えない月」他多数

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