『食べると死ぬ花』 (芦花公園)_書評という名の読書感想文

『食べると死ぬ花』 芦花 公園 新潮文庫 2026年6月1日 発行

義母殺し、妹殺し、一家心中・・・・・・・ 惨劇の裏で微笑む美青年の正体 すべての謎が繋がる極上ホラーミステリ

最愛のひとり息子・裕也を失った桜子は、カウンセラーの久根ニコライからふしぎな壺を与えられる。美しい彼は3つのルールさえ守れば裕也が帰ってくると言うが・・・・・・・。絶望した人間たちに久根が与える贈り物は、神の奇蹟か、それとも悪魔の呪いなのか。全ての謎が繋がるとき異なる世界への扉が開く。人間の欲望を抉り出す、極上のホラーミステリ。文庫化に際し、最終章 「診断の鍵」 を書き下ろし収録。(新潮文庫)

「食べると死ぬ花」 とは? このタイトルに関する具体的な記述は、本のどこを探しても見つかりません。何を指して付けたタイトルなのか。結局私は最後までわからず終いでした。言えるのは、これは単なるホラーミステリではなくて、宗教と哲学が相見えるような、そして読み手に途方もない問いを投げかけて終わるような、これまで味わったことのない読後感でした。私はいったい、何を読まされたのでしょう。

目次
大 歳 の 棺
選 択 の 箱
帰 還 の 壺
瞋 恚 の 石
黄 金 の 盃
天 賦 の 才
無 欠 の 人
診 断 の 鍵

この小説の第一話から第六話までの各話には以下のような四つの共通点があります。(これは解説からの抜粋) やがて全ては繋がり、第七話と最終話で核心に至るのですが、それが 「結論」 かどうかはわかりません。そこはご自身で判断ください。

一 ある家族とそれに関わる者が各話で主人公を務める。
二 ニコという謎の美青年が各々の主人公に関わる。
三 何らかの有形の物が各話で重要な役割を果たす。
四 とある宗教色が全話に亘って感じられる。

二のニコこと 「久根ニコライ」 と名乗る美青年こそがこの小説のキーマンで、彼は会う人すべてに以下のような印象を与える人物でした。否、人ではなかったのかも知れません。なら、いったい彼は何者だったのか?

おはようございますなぜか正面に男が座っている。三十代、いや、二十代後半かもしれない。タレントみたいに綺麗な男。綺麗すぎて、違和感すら覚える。まるで、彼だけがこの世界から浮き上がっているような。こんな異常な状況にあっても、私には目の前の男が危険な人間だとは思えなかった。それどころか、輝いてすらいるように見える。(本文より)

※これ、もしかしたら、ホラーミステリの体をとってはいますが、まるで違う読み物かもしれません。著者の意図が何なのか、よ~く考える必要があります。

この本を読んでみてください係数 80/100

◆芦花 公園
東京都生まれ。

作品 Web小説サイト 「カクヨム」 で公開していた 「ほねがらみ - 某所怪談レポート -」 が注目を集める。同作が編集者の目に留まり、2021年4月に幻冬舎から刊行された 「ほねがらみ」 で書籍デビュー。同年5月に刊行された 「異端の祝祭」 (角川ホラー文庫) も話題を呼ぶ。近著に 「漆黒の慕情」 (角川ホラー文庫) がある。

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