『静電気と、未夜子の無意識』 (木爾チレン)_書評という名の読書感想文 

『静電気と、未夜子の無意識』 木爾 チレン 幻冬舎文庫 2025年9月15日 初版発行

初恋は、少女をえぐる。

ベストセラーみんな蛍を殺したかった』 『二人一組になってくださいの著者、衝撃のデビュー作、待望の文庫化

顔が良ければ誰でもあり。時に九人と付き合っていた未夜子は大学構内で風変わりな男の子・亘を見かける。その瞬間、「無意識」 は恋に侵された。衝動のまま亘との距離を縮めていくが、彼女にはなれず関係も途切れ・・・・・・・。疼き続ける恋心に惑う未夜子が、終わらない初恋を終わらせるため向かった先は - 。「好きの代償」 を描く衝撃のデビュー作。解説・彩瀬まる (幻冬舎文庫)

「後書きと、私の無意識」 と題した長いあとがきに、こんな文章がありました。

大学生の頃、京都の恵文社という本屋で、山田緑さんが装画をされている 『燃えるスカートの少女』 という本を、一目惚れで買ったことを、まだ鮮明に覚えている。(以下略)

京都出身の作家さんですからそのこと自体は不思議でも何でもないのですが、京都市内に数多ある個性的な書店の中で 「恵文社」 と聞くと、「おおぉ、あの恵文社か! 」 と、つい声が出てしまう私のような人がたくさんいるのではないかと。

何度も行きました。家から車で一時間弱ほどかかります。琵琶湖大橋を渡り途中を越え、八瀬を抜けて白川通りを南下、街中の細い道に入ると間もなく 「恵文社一乗寺店」 があります。本以外にもいろんな雑貨が置いてあり、奥にはギャラリースペースもあって、やって来るのは必ずしも本が目的の人とは限りません。歴史は古く、独特の雰囲気があります。

地元出身の作家はもちろんのこと、広く関西で活躍している作家の作品 (小説やエッセイ等) を集めた小さなコーナーがあり、私はそこが目当てで、行くと必ず何冊かは買って帰ります。もうずいぶん前になりますが、岸政彦先生の本を初めて買ったのが恵文社で、『断片的なものの社会学』 というタイトルの本でした。

※小説の最初から解説までを読んで、一等記憶に残ったことを書きました。正直に言って、小説の評価についてはよくわかりません。解説の彩瀬まるさんはひどく褒めていますが、(気をつかっているのか) 何だか少し無理をしているようで、言葉通りには受け取れません。可愛い子は可愛い子なりに苦労する、ということだけではないのでしょうが、なんだか 「あたりまえ」 のことが書いてあるような。そんな気がするのは、私だけでしょうか。

この本を読んでみてください係数 80/100

◆木爾 チレン
1987年京都府生まれ。

2009年、大学在学中に執筆した短編小説 「溶けたらしぼんだ。」 で第9回女による女のためのR – 18文学賞優秀賞を受賞。12年に本作 『静電気と、未夜子の無意識。』 でデビュー。21年に 『みんな蛍を殺したかった』 が、24年には 『二人一組になってください』 が大ヒット。他の著書には 『私はだんだん氷になった』 『神に愛されていた』 などがある。

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