『4TEEN/フォーティーン』(石田衣良)_書評という名の読書感想文
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最終更新日:2024/01/11
『4TEEN/フォーティーン』(石田衣良), 作家別(あ行), 書評(は行), 石田衣良
『4TEEN/フォーティーン』石田 衣良 新潮文庫 2005年12月1日発行
東京湾に浮かぶ月島。ぼくらは今日も自転車で、風よりも早くこの街を駆け抜ける。ナオト、ダイ、ジュン、テツロー、中学2年の同級生4人組。それぞれ悩みはあるけれど、一緒ならどこまでも行ける、もしかしたら空だって飛べるかもしれない - 。友情、恋、性、暴力、病気、死。出会ったすべてを精一杯に受けとめて成長してゆく14歳の少年達を描いた爽快青春ストーリー。直木賞受賞作。(新潮文庫)
「自分自身の十代のなかで一番楽しかった年はいくつだったろう」- 著者である石田衣良はそう考えて、物語に登場する少年たちを「中学二年生」とします。曰く、
高校時代は本ばかり読んで暗かった。やはり中学生がいいだろう。それも受験勉強が厳しい三年生でも、まだ中学に慣れていない一年生でもない。やはり底抜けにたのしかったのは、中学二年生十四歳のときだ。(あとがき「四人の十四歳へ」より)
・・・・・・・・・
ちょっと「嫌味な」ことを書きます。
必ずしも中学二年生が底抜けに楽しかったわけではない私が読むと、どこか 「上から目線」 の、違う 「景色」 を見ていた奴が書いた文章に感じられます。
石田衣良はそんなつもりで書いたわけではないのでしょうが、そう思えてしまうのだからしょうがない。
(まるで根拠のない妄想ですが) きっと書いた本人は、基本屈託のない中学時代を送っていたのだろうと。家は裕福で親はしっかり二人おり、気にするほどの見た目ではなく無難で、成績は中の上くらい、人並みに愛想もよかったのだろうと。
極端な話、中学二年生の時が一番悲惨で辛かったという奴だっているかもしれないし、楽しかったのは何といっても高校生の時だったという奴もたぶん大勢いるわけで、とりわけ十四歳だけが 「底抜けに楽しい」 わけではなく、
さらに言うと、中学生の時も高校時代も、楽しいことなんてひとつもなかった、そんな奴もきっといるはずで、
(この歳になって) 思うのは、物語に登場する4人の少年、ナオトやダイ、ジュンやテツローのように、内に抱える悩みが様々ありながら、さもそれを無いようにして、あるいは、
知られたくない、人に言えない (家庭の) 事情までをも、たとえそれがそのとき一番の友だちだったとしても、本当に、すべてさらしてみせてしまえるのだろうかということです。
リアルかどうかは別にして、ここに登場する4人の少年たちは、何気にそれをやってみせます。
※これとよく似た話があります。皆さんよくご存じの、1986年公開の 『スタンド・バイ・ミー』 (原題:Stand by Me) というアメリカ映画です。この 『4TEEN/フォーティーン』という小説は、歳の違いこそあれ (「Stand by Me」は12歳の少年たちの物語です)、およそ中身は 『スタンド・バイ・ミー』 のそれと同じだと思ってください。
映画の詳細はネットで検索を。なお、「stand by me」 は 「そばにいてほしい そばにいてボクをささえてほしい」 という意味です。
この本を読んでみてください係数 80/100
◆石田 衣良
1960年東京都江戸川区生まれ。
成蹊大学経済学部卒業。
作品「池袋ウエストゲートパーク」「娼年」「骨音」「北斗/ある殺人者の回心」「眠れぬ真珠」「余命1年のスタリオン」「水を抱く」他多数
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