『お引っ越し』(真梨幸子)_書評という名の読書感想文

『お引っ越し』真梨 幸子 角川文庫 2017年11月25日初版


お引っ越し

内見したマンションはおしゃれな街のおしゃれな造り、環境も間取りも条件も申し分ない。ここに決めてしまおうか? しかし白い壁に小さな穴を見つけたキヨコは、そこからじわじわと “イヤな感じ” が広がっていくのを感じるのだった・・・・・・・。片付かない荷物、届かない段ボール箱、ヤバい引っ越し業者、とんでもない隣人 - きっとアナタも身に覚えがある引っ越しにまつわる6つの恐怖。イヤミスの女王の筆が冴えるサイコミステリ! (角川文庫)

」「」「」「」「」、そして「」。以上6編。- と思いきや、この小説には6編よりも尚怖い「解説」が付いてあります。

- そうして、『お引っ越し』というタイトルのゲラを、僕は読むこととなった。全部で、六編。A嬢(K川書店の編集者)いわく、都市伝説の中でも、信憑性の高いものを集めたとのことだ。確かに、聞いたことがあるような話がいくつかあった。

たとえば、「箱」、そして「壁」。いや、待て。それだけじゃない。「扉」と「紐」に登場したマンションは、あの有名な「怨霊マンション」ではないか? 夜な夜な、歌が聞こえてくるという噂の。

そして「棚」に出てきた女は、二年前に逮捕された、連続不審死事件の犯人ではないか? 「机」に出てきたあの男もそうだ。去年、死刑が確定した、「連続人食い魔」のことに違いない。僕は、改めて、戦慄を覚えた。

解説者は「とんでもない仕事を引き受けてしまったという思いに駆られた」といい、それは「あることに気が付いてしまったからだ」といいます。そして、「この仕事は引き受けない方がいいとすら思った」と。

いいですか。よく聞いてください。

- 読者の中には、「解説」から先に読む方も多いと思われる。本来は邪道なことなのだが、この本に限っては、それは正しい行為かもしれない。

僕はここで今一度警告する。この本は「読んではいけない」。

本書を読む前に、「解説」を読んだ読者はまずは自身の幸運に感謝するべきだ。そして、今すぐに本を閉じて、この本から遠く離れることをお勧めする。

解説者自らが「読んではいけない」類いの本だといい、「今、ここで本を閉じられるのが賢明だろう」といいます。

おや?

では、いったい「誰が」解説をしているのでしょう?

 

この本を読んでみてください係数 80/100


お引っ越し

◆真梨 幸子
1964年宮崎県生まれ。
多摩芸術学園映画科(現、多摩芸術大学映像演劇学科)卒業。

作品 「孤虫症」「えんじ色心中」「殺人鬼フジコの衝動」「深く深く、砂に埋めて」「女ともだち」「あの女」「みんな邪魔」「人生相談」他多数

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