『私が失敗した理由は』(真梨幸子)_書評という名の読書感想文

『私が失敗した理由は』真梨 幸子 講談社文庫 2019年9月13日第1刷

私が失敗した理由は (講談社文庫)

・・・・・・・そうか、元凶は、これだったのね。

イヤミス女王が放つ傑作。この本は、ヤバい。 読後の幸福感は一切、保証されません。(講談社文庫)

順風満帆な人生を送っている - 落合美緒はそう思っていた。都心のタワーマンションに住み、二歳下の旦那とは社内結婚、優雅な二人の生活。そんな時に、美緒は妊娠する。ところが不幸なことに流産してしまい、それがきっかけで体調を崩し、会社を辞めざるを得なくなる。今までは夫婦の収入で住めていたタワーマンションにももう住めない。東京近郊のT市に移り住んだ美緒夫婦。鬱々とした気分はいっこうに回復することもなかった。

そんなある日、美緒の気持ちがパート先の同僚ムラカミの話で一転する。人生、順風満帆だったころに感じていた 「ときめき」 が復活したのだ。

食欲も戻り、夕食のあと、どうしてもフレンチトーストを食べたくなった美緒は、食パンを買いにコンビニへ。そこで同じく同僚のイチハラに出会う。イチハラはとんでもなくおかしな格好をしていたが、美緒は大して気にすることもなく、世間話をしてその日は帰ってしまう。

ところが後日、イチハラが大量殺人事件を起こした犯人だと取り沙汰され、事件を起こしたとされるその日時が、美緒が彼女と会ったその前の時間だったことが判明するのだ。

成功をもうすぐ手中に収めそうだったイチハラは、なぜ、わざわざ人生を失敗するような大事件を起こしてしまったのか。考えるうちに燃え上がるような 「ときめき」 を感じた美緒は、急に 『私が失敗した理由は』 という本を出す企画を思いつき、かつての恋人で編集者の土谷健也に電話をする。事件の真相は、そして美緒の企画はどうなるのか? (アマゾン内容紹介より)

序章の終わりに、こんなことが書いてあります。内容紹介と併せ、如何にもな作品に思えますが、侮ってはいけません。

本書では、失敗 の正体を見極める方法を、事例を挙げて説明します。どれも典型的な小さな失敗 で、その失敗を避けられなかったせいで、目の前にあった成功というハッピーエンドから遠く離れ、最悪のケースに陥った人たちのエピソードです。

死ぬわ、死ぬわ。いくら何でもそれはないだろうというくらいに人が死にます。怖いというよりむしろ、 “ノリ” で殺しているような。そんな感じを受けました。これでもかという筋書きは、「えっ!? ・・・・・」 という結末で幕を閉じます。

この本を読んでみてください係数 80/100

私が失敗した理由は (講談社文庫)

◆真梨 幸子
1964年宮崎県生まれ。
多摩芸術学園映画科(現、多摩芸術大学映像演劇学科)卒業。

作品 「孤虫症」「えんじ色心中」「殺人鬼フジコの衝動」「深く深く、砂に埋めて」「女ともだち」「あの女」「みんな邪魔」「人生相談」「お引っ越し」他多数

関連記事

『1R 1分34秒』(町屋良平)_書評という名の読書感想文

『1R 1分34秒』町屋 良平 新潮社 2019年1月30日発行 第160回芥川賞受賞 1R

記事を読む

『高校入試』(湊かなえ)_書評という名の読書感想文

『高校入試』湊 かなえ 角川文庫 2016年3月10日初版 高校入試 (角川文庫) &n

記事を読む

『飛族』(村田喜代子)_書評という名の読書感想文

『飛族』村田 喜代子 文春文庫 2022年1月10日第1刷 飛族 (文春文庫 む 6-6)

記事を読む

『劇場』(又吉直樹)_書評という名の読書感想文

『劇場』又吉 直樹 新潮文庫 2019年9月1日発行 劇場 (新潮文庫) 高校卒業後、

記事を読む

『絶唱』(湊かなえ)_書評という名の読書感想文

『絶唱』湊 かなえ 新潮文庫 2019年7月1日発行 絶唱 (新潮文庫) 悲しみしかな

記事を読む

『腐葉土』(望月諒子)_書評という名の読書感想文

『腐葉土』望月 諒子 集英社文庫 2022年7月12日第6刷 『蟻の棲み家』(新潮文

記事を読む

『アルテーミスの采配』(真梨幸子)_書評という名の読書感想文

『アルテーミスの采配』真梨 幸子 幻冬舎文庫 2018年2月10日初版 アルテーミスの采配 (

記事を読む

『屑の結晶』(まさきとしか)_書評という名の読書感想文

『屑の結晶』まさき としか 光文社文庫 2022年10月20日初版第1刷発行 最後

記事を読む

『羊と鋼の森』(宮下奈都)_書評という名の読書感想文

『羊と鋼の森』宮下 奈都 文春文庫 2018年2月10日第一刷 羊と鋼の森 (文春文庫) 高

記事を読む

『あなたの涙は蜜の味|イヤミス傑作選』(宮部みゆき 辻村深月他)_書評という名の読書感想文

『あなたの涙は蜜の味|イヤミス傑作選』宮部みゆき 辻村深月他 PHP文芸文庫 2022年9月22日

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

『連鎖』(黒川博行)_書評という名の読書感想文

『連鎖』黒川 博行 中央公論新社 2022年11月25日初版発行

『夜に星を放つ』(窪美澄)_書評という名の読書感想文

『夜に星を放つ』窪 美澄 文藝春秋 2022年7月30日第2刷発行

『生命式』(村田沙耶香)_書評という名の読書感想文

『生命式』村田 沙耶香 河出文庫 2022年5月20日初版発行

『中尉』(古処誠二)_書評という名の読書感想文

『中尉』古処 誠二 角川文庫 2017年7月25日初版発行

『犬のかたちをしているもの』(高瀬隼子)_書評という名の読書感想文

『犬のかたちをしているもの』高瀬 隼子 集英社文庫 2022年9月1

→もっと見る

  • 3 にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
PAGE TOP ↑