『森は知っている』(吉田修一)_噂の 『太陽は動かない』 の前日譚
公開日:
:
最終更新日:2024/01/08
『森は知っている』(吉田修一), 作家別(や行), 吉田修一, 書評(ま行)
『森は知っている』吉田 修一 幻冬舎文庫 2017年8月5日初版
南の島で知子ばあさんと暮らす十七歳の鷹野一彦。体育祭に興じ、初恋に胸を高鳴らせるような普通の高校生活だが、その裏ではある秘密組織の過酷な訓練を受けている。ある日、同じ境遇の親友・柳が一通の手紙を残して姿を消した。逃亡、裏切り、それとも - !? その行方を案じながらも、鷹野は訓練の最終テストとなる初ミッションに挑むが・・・・・。(幻冬舎文庫)
自分以外の人間は誰も信じるな - 子供の頃からそう言われ続けて育てられた。しかし、その言葉には、まだ逃げ道がある。たった一人、自分だけは信じていいのだ。ささやかでも確かな “希・・・・・
森は知っている [著] 吉田修一
産業スパイ鷹野 (たかの) 一彦を主人公に、命がけの情報戦が繰り広げられた 『太陽は動かない』 の続編にして前日譚 (たん)。南の島の緑の森がつくり出す濃厚な光と闇が少年を育む、切ない青春小説だ。
舞台は沖縄の南西にある島。鷹野は、一見普通のやんちゃな高校生のように日々を過ごしていた。転校生との淡い初恋も。だが、18歳になると組織の一員として本格的に働かなくてはならず、訓練も始まっていた。ある日、一足早く独り立ちした仲間が、組織を裏切ったと知らされ・・・・・・・。
鷹野の悲しい生いたちや、組織の成り立ちも明らかになる。本書だけでも楽しめるし、本書の後に前作を読んでも、読み応えは変わらない。(WEBサイト 「好書好日」 より)
[情報]
吉田修一の小説 『太陽は動かない』 が、藤原竜也主演で映画&連続ドラマ化されることが決定。原作は、『怒り』 や 『悪人』 など映画化が後を絶たない吉田のスパイアクション小説、通称 “鷹野一彦” シリーズ三部作の 『太陽は動かない』 『森は知っている』 『ウォーターゲーム』。今回映画で描かれるのは『太陽は動かない』 『森は知っている』 の2編で、連続ドラマでは原作者である吉田監修のもと構築されるオリジナルストーリーとなる。
映画:2020年5月全国ロードショー
連続ドラマ:2020年5月WOWOWにて放送
出演:藤原竜也、竹内涼真、佐藤浩市ほか 監督:羽住英一郎
※高校生・鷹野一彦の17歳の苦悩を描いたのが、本作 『森は知っている』。どうせ読むならこちらを先に読んでください。その方が絶対に面白い。
この本を読んでみてください係数 80/100
◆吉田 修一
1968年長崎県長崎市生まれ。
法政大学経営学部卒業。
作品 「最後の息子」「熱帯魚」「パレード」「パーク・ライフ」「悪人」「横道世之介」「平成猿蟹合戦図」「愛に乱暴」「怒り上・下」他多数
関連記事
-
『儚い羊たちの祝宴』(米澤穂信)_名手が放つ邪悪な五つの物語
『儚い羊たちの祝宴』米澤 穂信 新潮文庫 2019年6月5日12刷 味わえ、絶対零
-
『ミート・ザ・ビート』(羽田圭介)_書評という名の読書感想文
『ミート・ザ・ビート』羽田 圭介 文春文庫 2015年9月10日第一刷 東京から電車で約1時間
-
『いつか深い穴に落ちるまで』(山野辺太郎)_書評という名の読書感想文
『いつか深い穴に落ちるまで』山野辺 太郎 河出書房新社 2018年11月30日初版
-
『はるか/HAL – CA』(宿野かほる)_書評という名の読書感想文
『はるか/HAL - CA』宿野 かほる 新潮文庫 2021年10月1日発行 「再
-
『ハリガネムシ』(吉村萬壱)_書評という名の読書感想文
『ハリガネムシ』吉村 萬壱 文芸春秋 2003年8月31日第一刷 ボップ調の明るい装丁から受ける
-
『ジェントルマン』(山田詠美)_書評という名の読書感想文
『ジェントルマン』山田 詠美 講談社文庫 2014年7月15日第一刷 第65回 野間文芸賞受賞
-
『村上春樹は、むずかしい』(加藤典洋)_書評という名の読書感想文
『村上春樹は、むずかしい』加藤 典洋 岩波新書 2015年12月18日第一刷 久方ぶりに岩波
-
『まつらひ』(村山由佳)_書評という名の読書感想文
『まつらひ』村山 由佳 文春文庫 2022年2月10日第1刷 神々を祭らふこの夜、
-
『JR上野駅公園口』(柳美里)_書評という名の読書感想文
『JR上野駅公園口』柳 美里 河出文庫 2017年2月20日初版 1933年、私は
-
『満願』(米澤穂信)_書評という名の読書感想文
『満願』米澤 穂信 新潮社 2014年3月20日発行 米澤穂信の『満願』をようやく読みました。な