『陰日向に咲く』(劇団ひとり)_書評という名の読書感想文

『陰日向に咲く』劇団ひとり 幻冬舎文庫 2008年8月10日初版発行


陰日向に咲く (幻冬舎文庫)

 

この本が出版されたのは、もう6年も前のことになります。

今更なぜこの本なのかと自分でも思うのですが、実は発売当時から気にはなっていたのです。

お笑い芸人でありながら、時おりらしくないシニカルな表情をみせて突然切れたりする彼の芸風が好きでした。

出版されたものがエッセイの類いなら気にもしなかったと思いますが、小説だったのは素直に驚きで読んでみたいと思ったのです。

ただあまりにも売れすぎて、書店でこの本を手に取るのが気恥ずかしくなっていたのです。

それに、このタイトルと表紙の写真です。

『陰日向に咲く』というタイトルは、おそらく良いタイトルなのでしょう。でも、劇団ひとりが書いた初めての小説には、良すぎて、これまた恥ずかしいのです。

冒頭の一編から取って「道草」とか、、、私なら「鳴子」にしてるかな。とにかく、恰好良すぎません?

それから表紙の写真ね。生粋の作家ではなくあくまで芸人だからわざとそうしたんでしょうが、自分がど真ん中に写ってどうすんの?

そんなこんなで、先日ようやく「決心して」文庫を購入した次第です。

 

文庫裏の解説を拝借します。

ホームレスを夢見る会社員。売れないアイドルを一途に応援する青年。合コンで知り合った男に遊ばれるフリーター。老婆に詐欺を働く借金まみれのギャンブラー。

そして、場末の舞台に立つお笑いコンビ。不器用に生きる人々をユーモア溢れる筆致で描き、高い評価を獲得した感動の小説デビュー作。

 

売れた理由は何となく分かります。でも、爆発的に売れた理由は正直よく分かりません。

読みやすいし、劇団ひとりがテレビで一人芝居してる感覚で読む(どうしてもそうなる)と、それなりに笑えるしオチも用意されています。

後半はより小説らしくなってるし、努力は認めますが、もしこれが無名の作家志望の人間が持ち込んだ小説だとしたら、果たして出版社は本にしたろうかと感じてしまう私です。

「劇団ひとりよ、よく頑張ったぞ。立派な小説だ」...ということだろうと思います。

例えば、もしこの作品をプロの小説家(私がイメージするのは荻原浩)がリメイクしたら、さらにペーソスが効いて、さらに優しげな再生の物語に仕上がることでしょう。

でも、間違っても100万部は売れませんけどね。

 

劇団ひとりさん、解説を書いたお父上、好きなことを書きました、ごめんなさい。

 

この本を読んでみてください係数 50/100


陰日向に咲く (幻冬舎文庫)

◆劇団ひとり

1977年千葉県生まれ。

92年デビュー、2000年にピン芸人として「劇団ひとり」になる。『陰日向に咲く』は100万部を超えるベストセラーになる。

作品 「青天の霹靂」「そのノブは心の扉」など

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