『闇祓 Yami-Hara』(辻村深月)_書評という名の読書感想文
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『闇祓 Yami-Hara』(辻村深月), 作家別(た行), 書評(や行), 辻村深月
『闇祓 Yami-Hara』辻村 深月 角川文庫 2024年6月25日 初版発行
人間社会に潜む闇の恐怖! 気づかぬうちに増殖する 「闇ハラ」。その正体に迫る - 。著者初の本格ホラーミステリ長編!

あいつらが来ると、人が死ぬ。
転校生の白石要は、不思議な男子だった。優等生の澪は、クラスに馴染めない要に気を遣いおそるおそる話しかけたが、要のリアクションは 「今日、家に行ってもいい? 」 だった。この転校生は普通じゃない。身の危険を感じた澪は、憧れの先輩、神原一太に助けを求めるが - 。学校で、会社で、団地で、人の心を乱し悪意を振りまく人たちがいる。それは 「闇ハラ」 かもしれない。満を持して解き放つ、初の本格ホラーミステリ長編! (角川文庫)
ヤミ-ハラ 【闇ハラ】 闇ハラスメントの略。精神・心が闇の状態にあることから生ずる、自分の事情や思いなどを一方的に相手に押しつけ、不快にさせる言動・行為。本人が意図する、しないにかかわらず、相手が不快に思い、自身の尊厳を傷つけられたり、脅威を感じた場合はこれにあたる。
『闇祓』 は簡単に説明するなら、闇ハラ (闇ハラスメント) = 心の闇を相手に押しつける行為が、さまざまな不幸や死を引き起こす、という着想によって書かれたホラーである。
巻頭には闇ハラの定義が置かれているが、これはあくまで作者による創作。ただし闇ハラという行為自体がフィクションではないことは、本書を読み進むうちにすぐに納得できるだろう。これまで名づけられていなかった、しかし社会に確かに存在しているハラスメントに名前を与え、それを恐怖の焦点として扱ったところに、本書のホラーとしての眼目がある。
こう紹介すると、人間心理の暗部をえぐった、いわゆるイヤミス的な作品を連想されるかもしれない。確かに五つのパートからなる本書は、思わず直視するのをためらうような、人間に潜む闇が描かれているが、その背後には超自然的ホラーの領域が広がっており、現実と虚構、ミステリとホラーが絶妙なバランスで並び立っている。そこもまた本書の大きな魅力といえる。
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闇ハラはあらゆるところに忍び込む。しかも加害者と被害者は一定しているのではなく、人間同士の距離感によってめまぐるしく変化する。澪がショックを受けていたように、思いもかけない人物が闇ハラの当事者であるということが、往々にして起こりうるのだ。誰にとっても他人事ではありえない。そこに闇ハラの恐ろしさがある。
次はあなたの番かもしれないよ - 。そんな不吉な呪いをかけて、この物語は幕を下ろす。なんと恐ろしい、なんと救いのない世界観だろう。ホラーの結末はこうでなくては、と作者が微笑するのが見えるような気がする。そう、この展開はホラー小説として圧倒的に正しいのだ。(解説より抜粋)
※上手い。手抜かりがないというか、安心して読めます。さすが名手・辻村深月といったところ。
ひとつだけ。勘違いしてはいけません。白石要は見た目とは違い、意外といい奴です。
この本を読んでみてください係数 85/100

◆辻村 深月
1980年山梨県笛吹市生まれ。
千葉大学教育学部卒業。
作品 「冷たい校舎の時は止まる」「太陽の坐る場所」「鍵のない夢を見る」「朝が来る」「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。」「かがみの孤城」「傲慢と善良」「盲目的な恋と友情」「琥珀の夏」他多数
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