『うたかたモザイク』(一穂ミチ)_書評という名の読書感想文
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『うたかたモザイク』(一穂ミチ), 一穂ミチ, 作家別(あ行), 書評(あ行)
『うたかたモザイク』一穂 ミチ 講談社文庫 2024年11月15日 第1刷発行
祝・直木賞受賞 人が生きることの、光と影 あなたの思いや生きかたがきらめき、翳り、揺らいで、にじむ。

sweet spicy bitter salty tasty 色とりどりの欠片をちりばめた、味わい豊かな作品集
甘くてスパイシーで苦くてしょっぱい、人生の味わいを詰めこんだ17の物語。どんな人にも、どんな日々にも、凹凸や濃淡、裏表はかならずあるから、そんな欠片を集めたこの本のなかに、自分に寄り添う物語がきっとある。文庫化に際し 「魔法少女ミラクルミルキー」 「大阪の叔父さん」 「前夜」 「ムーンライダー」 を収録。(講談社文庫)
おそらく大枠でとらえれば “愛“ に関する話が17編。あの時あなたが感じたような、誰もが似た経験を一度はした覚えがあるような、そんな話が変幻自在に綴られています。時に沈み込んだり、思わず顔を赤らめたりするかもしれません。
世事の一々をこれほど的確かつ明快に文章にできたならと。堅苦しくも、小難しくもなく、むしろわかりやすくてコミカルに、そして惹き込まれてしまうほどに魅力的に。うんうんと頷いて、ため息をつくかもしれません。関西弁のしゃべくりに、笑いが止まらないかも。考えさせられて、あげく泣くかもしれません。
「honto みんなのレビュー一覧」 に、一般読者からのこんな感想がありました。
戦時中、約ネバな世界、戦闘中の魔法少女、落ちる直前に停止したジェットコースター、臨終間際。多彩な設定、シチュエーション、登場人物からなる17編。
どれかはハマる話があるはず。にしても作者は濡れ場を描かせたら右に出る者がいません、きっと。直接的ではないのに官能的で、下品ではない。かつ読者に情景を思い浮かばせる表現力。すご
その凄さだけでも感じてほしい。
「その凄さだけでも感じてほしい」 と思ったのは、おそらく二番目 「Melting Point」 のことでしょう。タイトルもいい。チョコレートの話であり、チョコレートの話だけではありません。読むと溶けますよ、きっとあなたも。
私が好きなのは冒頭の 「人魚」 と、後半に出てくる 「神さまはそない優しない」 と 「透子」 でしょうか。全部まとめてお勧めなのですが、敢えて言えばということで。とにもかくにも、読んで損はありません。否、読むべきだと思います。私はこれが直木賞でもいいとさえ思っています。
この本を読んでみてください係数 85/100

◆一穂 ミチ
1978年大阪府生まれ。
関西大学卒業。
作品 「雪よ林檎の香のごとく」「イエスかノーか半分か」「光のとこにいてね」「パラソルでパラシュート」「うたかたモザイク」「砂嵐に星屑」「スモールワールズ」「ツミデミック」他多数
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