『フクロウ准教授の午睡 (シエスタ)』(伊与原新)_書評という名の読書感想文
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『フクロウ准教授の午睡 (シエスタ)』(伊与原新), 伊与原新, 作家別(あ行), 書評(は行)
『フクロウ准教授の午睡 (シエスタ)』伊与原 新 文春文庫 2025年4月10日 第3刷
祝 第172回 直木賞受賞!

この男 (フクロウ) 要注意! 禁断のアカデミック・ミステリ!
学長選挙が迫る地方国立大学に現れた袋井准教授。昼間は眠たげで無気力なのに、夜になると人知れず動き出す。そんな夜行性の “フクロウ“ は、権謀術数うずまく学内で起こるトラブルに首を突っ込み、思わぬ方法で有力教授のスキャンダルを暴いていく。一体、袋井の目的とは - 。ラストまで油断厳禁、異色の大学ミステリ。(文春文庫)
目次
Ⅰ アカハラの罠
Ⅱ 広報ギャンブル
Ⅲ 学会哀歌
Ⅳ 盗まれた密約
Ⅴ 梟の滑空
読んで不足があるかといえば、そんなものは何もありません。楽しく、面白く読むことができました。ただ、中の何かに “感極まった“ わけではありません。そこまでの話ではないというか、そんな類の本ではないというか・・・・・、実に中途半端な読後感なわけです。
仕方ないので何気に読書メーターなどを覗いていると、こんな感想を見つけました。
科学的な題材がベースになっている他の作品とは趣が違い、地方国立大学を舞台に、大学でのあれこれを題材にした、謎解きもある (連作) 短編集。伊与原新氏の作品を文庫で買おうと思ったが、よくいく本屋にはこの作品しかなかった。んー、まあまあかな。
この 「てん」 さんからのメッセージは、そっくりそのまま、私の思いそのものでした。
週に一度や二度は必ず行く近くの本屋には、その日 (てんさんと同じで) 著者の文庫であったのはこれ一冊で、他に読みたい本もなく、ただ何も買わずに帰るのも癪で、「ならこれでも」 と選んで買ったものでした。
動機が不純で、特に読みたいと思ったわけでもない本を買ってしまうと、読後感は往々にしてこんな感じになってしまいます。せっかくなので読むには読むのですが、たいてい感想は 「まあまあ」 で、それ以上でも以下でもありません。
この本を読んでみてください係数 80/100

◆伊与原 新
1972年大阪生まれ。
神戸大学理学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科で地球惑星科学を研究。博士課程修了。
作品 「お台場アイランドベイビー」「月まで三キロ」「プチ・プロフェスール」「ルカの方舟」「青ノ果テ 花巻農芸高校地学部の夏」「八月の銀の雪」「オオルリ流星群」他多数
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