『おしまいの日』(新井素子)_書評という名の読書感想文
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『おしまいの日』(新井素子), 作家別(あ行), 新井素子, 書評(あ行)
『おしまいの日』新井 素子 中公文庫 2025年6月25日 改版発行
「トラウマ級サイコホラーが待望の復刊 純粋すぎる愛情が怖すぎる」 (未来屋書店碑文谷店 福原夏菜美)

「どうか “まとも“ な時に読んで下さい、と念押したい」 まざわ書店新潟亀田店 今井美樹
春さんが、帰ってこない - 。深夜一時半。最愛の夫の帰りを待つ三津子。無理な残業をする彼を心配する彼女の心は、決して夫には届かない。その想いを記した日記は、やがて幻聴、幻覚、幻影、幻想に呑まれていく。そして迎える 《おしまいの日》 に三津子は・・・・。春さんは、まだ、帰ってこない - 。正気と狂気の狭間を描く、サイコホラーの傑作! (中公文庫)
1992年に新潮社より刊行された作品。最近人気の 『くますけと一緒に』 に続くサイコホラー。
それはあまりに極端な - と思われるかもしれません。しかし、あの時代にあってはじつは特段珍しいことでもなくて、この小説に登場する夫婦と似た夫婦は少なからずいたはずです。我慢ばかりを強いられる暮らしがむしろ評価された、あの頃の空気を存分に味わってください。
新婚7年目の坂田美津子 (30歳) と忠春 (34歳)。賃貸ながらも一軒家に住み、喧嘩したこともない夫婦だったが、忠春は仕事に追われ、毎日遅くに帰って来る。休みの日も朝早くから休日出勤や接待ゴルフに出かける。本当にたまの休日には、忠春は家でずっと寝ている。平凡な専業主婦の三津子は夫の帰りを待つばかりだった。状況は幸せなのに、自分が寂しいということすら認識できていなかった三津子は家に通ってくる野良猫ににゃおんと名前を付けて世話をするようになる。
一方、高校時代に三津子と友人だった間久美は夫・俊幸とは倦怠期で離婚の話も持ち上がっていた。12年ぶりに三津子と再会した久美は、三津子がノイローゼになっていると見抜き、三津子を救おうと奔走する。
しかし、三津子は行方不明となる。
久美は、三津子の残した日記を読む。(wikipediaより)
※三津子が姿を消してしまうのは、物語の終盤、これ以上放っておくと三津子はどうにかなってしまうのではないかという間際のことです。それは夫の忠春も、友人の久美も、十分過ぎるくらい十分にわかっていたことでした。ところが、二人共が彼女の失踪をくい止めることはできません。すべてはあとの祭り。三津子はいつまで経っても見つかりません。
この本を読んでみてください係数 85/100

◆新井 素子
1960年東京都生まれ。立教大学独文科卒業。
高校時代に書いた 『あたしの中の・・・・・・・』 が第1回奇想天外SF新人賞佳作となり、デビュー。81年 『グリーン・レクイエム』、82年 『ネプチューン』 で連続して星雲賞を受賞、99年 『チグリスとユーフラテス』 で日本SF大賞を受賞した。他の作品に 『星へ行く船』 『くますけと一緒に』 『銀婚式物語』 『定年物語』 など多数。
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