『嘆きの美女』(柚木麻子)_書評という名の読書感想文
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『嘆きの美女』(柚木麻子), 作家別(や行), 書評(な行), 柚木麻子
『嘆きの美女』柚木 麻子 朝日文庫 2023年8月30日 第3刷発行
心躍る瞬間を、小さな一冊で - 選りすぐりの、知性とエンタメ 朝日文庫 グランドフェア2025

人生って、誰でも平等にハードなんだよ。
生まれつき顔も性格もブスな耶居子は、会社を辞めほぼ引きこもり。顔のにきびをつぶすことと、美人専用悩み相談サイト 「嘆きの美女」 を荒らすことが最大のたのしみ。ところが、ある出来事をきっかけに 「嘆きの美女」 の管理人の住むお屋敷で同居するハメに・・・・・・・。読めば心が 「すーっとする」 全女性に送りたい、とびっきりの成長小説。(朝日文庫)
思うにこの物語の主人公・耶居子は、(本人が悩むほどには) 醜くもダメな人間でもないのではないかと。元々が引っ込み思案で人付き合いが苦手で、親しく男性から話しかけられるような機会にも恵まれず、結果、なるべくして引きこもり、世間を恨みつつ生きることを余儀なくされています。
耶居子は目立つほどの美貌ではないにせよ、少なくとも十人並みには整っているのではないかと。元来気弱な彼女は引きこもりのせいで肥え太り、世間と隔絶する中でなお一層投げやりな指向に拍車がかかったのではないかと思うのですがどうでしょう?
何をしても報われず、どうすればいいのかもわからない。独りネットで憂さを晴らす以外にすることがない・・・・・・・
そんな耶居子の心的背景には、間違いなく自分に向けた “承認欲求“ があります。しかし今の彼女には、それを満たす手立てがありません。百歩譲って何か手立てがあったとしても、抜き差しならぬ僻み根性が壁となり、そんな状況をことさらややこしくしています。
彼女はそんな自分に気付きもしません。そしてその打開策が耶居子が一番嫌う極めつきの美女たちとの暮らしの中にあったとは、今はまだ知る由もありません。
この本を読んでみてください係数 85/100

◆柚木 麻子 1981年東京都世田谷区生まれ。立教大学文学部フランス文学科卒業。
作品 「終点のあの子」「本屋さんのダイアナ」「ランチのアッコちゃん」「伊藤くんA to E」「ナイルパーチの女子会」「その手をにぎりたい」「BUTTER」「あいにくあんたのためじゃない」他多数
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