『コメンテーター』(奥田英朗)_書評という名の読書感想文
公開日:
:
『コメンテーター』(奥田英朗), 作家別(あ行), 奥田英朗, 書評(か行)
『コメンテーター』奥田 英朗 文春文庫 2025年9月10日 第1刷
シリーズ累計300万部突破! テレビ局社員 ピアニスト 億万長者 - 集まれ! 限界社会人

トンデモ精神科医・伊良部の17年ぶりシリーズ最新作
打ち切り寸前のワイドショー番組制作チームは、状況を打破すべくコメンテーター探しに奔走中。昔気質な上司の方針で 「美人女医」 を連れて来るつもりが、手違いで色白で太った精神科医・伊良部一郎が出演する羽目に。彼の自由すぎる発言が、令和の悩める人々を笑撃&震撼させる! 大人気の連作短編集シリーズ、待望の第4弾。(文春文庫)
[目次]
コメンテーター
ラジオ体操第2
うっかり億万長者
ピアノ・レッスン
パレード
2004年に直木賞を受賞した 『空中ブランコ』、それに続く 『イン・ザ・プール』 と 『町長選挙』。そしてなんと17年ぶりに発売されたのが本作 『コメンテーター』 です。
精神科医・伊良部がする発言や治療のあまりな “自由さ“ に、藁にも縋る思いで病院を訪れた患者は、只々あ然とするほかありません。やれと言われたことが本当に治療になるのかどうかも疑わしいままに、気づくと、すっかり彼のペースに乗せられています。
いきなりビタミン剤入りの注射を打たれ - これは彼がする治療の前の “お決まりの儀式“ のようなもので、注射をされる患者の様子を至近距離で観察するのが、彼の何よりの “趣味“ でした - 次に、およそ治療らしからぬ治療のメニューを提案します。
その自信満々な言い様に、患者は伊良部の指示に逆らうことができません。軽い調子で彼が言うと、何だか 「それもそうか・・・」 と思えてくるのが不思議で、期待もせずに仕方なく従っていると、図らずも、患者の症状は快方へと向かっていくのでした。
※この “パターン “は、前作のどれかを読んだ人ならとうに承知しています。今回初読の人は、(最初は間違いなくバカらしいと思うでしょうが) そこを何とかガマンして、一作だけでも読み通してください。必ずや、元気が出ます。勇気が湧いて来ます。(大きな錯覚ではありますが) 伊良部がいい奴に思えてきます。
この本を読んでみてください係数 85/100

◆奥田 英朗
1959年岐阜県岐阜市生まれ。
岐阜県立岐山高等学校卒業。プランナー、コピーライター、構成作家を経て小説家。
作品 「ウランバーナの森」「最悪」「邪魔」「空中ブランコ」「町長選挙」「沈黙の町で」「無理」「噂の女」「ナオミとカナコ」「向田理髪店」「罪の轍」「コロナと潜水服」「リバー」他多数
関連記事
-
-
『銀河鉄道の父』(門井慶喜)_書評という名の読書感想文
『銀河鉄道の父』門井 慶喜 講談社 2017年9月12日第一刷 第158回直木賞受賞作。 明治2
-
-
『AX アックス』(伊坂幸太郎)_恐妻家の父に殺し屋は似合わない
『AX アックス』伊坂 幸太郎 角川文庫 2020年2月20日初版 最強の殺し屋は
-
-
『グ、ア、ム』(本谷有希子)_書評という名の読書感想文
『グ、ア、ム』本谷 有希子 新潮文庫 2011年7月1日発行 北陸育ちの姉妹。長女は大学を出た
-
-
『平場の月』(朝倉かすみ)_書評という名の読書感想文
『平場の月』朝倉 かすみ 光文社 2018年12月20日初版 五十歳の再会 『平
-
-
『鯨の岬』(河﨑秋子)_書評という名の読書感想文
『鯨の岬』河﨑 秋子 集英社文庫 2022年6月25日第1刷 札幌の主婦奈津子は、
-
-
『死体でも愛してる』(大石圭)_書評という名の読書感想文
『死体でも愛してる』大石 圭 角川ホラー文庫 2020年8月25日初版 台所に立っ
-
-
『ここは、おしまいの地』(こだま)_書評という名の読書感想文
『ここは、おしまいの地』こだま 講談社文庫 2020年6月11日第1刷 私は 「か
-
-
『地獄行きでもかまわない』(大石圭)_書評という名の読書感想文
『地獄行きでもかまわない』大石 圭 光文社文庫 2016年1月20日初版 冴えない大学生の南里
-
-
『月蝕楽園』(朱川湊人)_書評という名の読書感想文
『月蝕楽園』朱川 湊人 双葉文庫 2017年8月9日第一刷 癌で入院している会社の後輩。上司から容
-
-
『罪の余白』(芦沢央)_書評という名の読書感想文
『罪の余白』芦沢 央 角川文庫 2015年4月25日初版 どうしよう、お父さん、わたし、死んでしま
















