『成瀬は都を駆け抜ける』(宮島未奈)_書評という名の読書感想文

『成瀬は都を駆け抜ける』宮島 未奈 新潮社 2025年12月1日 発行

唯一無二の主人公、膳所から京都へ! 令和最強の青春小説シリーズ堂々完結!

高校を卒業し、晴れて京大生となった成瀬あかり。一世一代の恋に破れた同級生、達磨研究会なるサークル、簿記のYouTuber・・・・・・・。新たな仲間たちと出会った成瀬の次なる目標は “京都を極める“! 一方、東京の大学へ進学した島崎みゆきのもとには成瀬から突然ある知らせが・・・・・・・!? 最高の主人公に訪れる、究極のハッピーエンドを見届けよ! (新潮社)

言わずと知れた今年の大ベストセラーの第三弾、シリーズ完結編です。舞台は京都。成瀬あかりは、なんと京都大学の学生になっています。

WEB本の雑誌 「横丁カフェ」より BUNKITSU TOKYO 成生隆倫さんの書評 (の前半だけ)

書店の入口やメイン通路に面するエンドという場所は、いわば売り場の一等地である。雑誌エリアであれば、週刊誌や美容誌が置かれているのが一般的な陳列だろう。だが2023年3月。雑誌担当だった俺は、その常識的景観を見事にぶっ壊したのだった。

雑誌エリアのエンドに、ずらりと 『成瀬は天下を取りにいく』 を並べまくった書店員は、たぶん日本で俺しかいない。推したい気持ちが溢れすぎて、当時の勤務先では禁止されていたPOP制作を強引に押し進めたのも、たぶん俺しかいない。

現在はBUNKITSU TOKYOに籍を移しているのだが、もちろん成瀬愛は変わらず大継続中である。しかし、大好きな成瀬シリーズも 『成瀬は都を駆け抜ける』 をもって終わりを迎えてしまう。最終巻という特別な存在ではあるが、それ以前に本書は、俺にとって大きな意味を持っている。

実は、成瀬と同様、俺も学生時代を京都で過ごしていたのである。京都のあの場所この場所に成瀬が赴くたび、愛車・理加マウンテン号 (好きだった女の子の名前をつけた自転車) を乗り回した日々が甦る。

まぁ俺は、鍋をつつきながら男女の理に異を唱えているような人種ではあったが - どちらかというと森見登美彦作品寄りの大学生であった - それでも憧れの成瀬と共通点を持てたことは、純粋に嬉しかった。

また、我が母校・立命館大学の後輩が新キャラとして登場するのも感慨深い。
「ゼゼカラならぬリツカラでM-1出ようぜ! 」
興奮のあまり、プルーフを読了済みだった書店員の友人に思わず電話をかけた。

ちなみに彼は学生時代の同級生で、成瀬をきっかけに再会し、共にミシガンに乗船した仲でもある。ちなみにM-1出場は即刻拒否された。

さて、話を戻そう。

と、ここから先で具体的な内容に触れ、感想を述べたりが続くのですが、今回私が成生さんの書評を紹介しようと思った一番の理由は、成生さんと同じく、私もかつて立命館の学生だったことが決め手になりました。ずいぶん年の離れた同窓生 (しかもおそらく著者が作った架空の人物) ではありますが、自分に近しい人物がひとり登場するだけで、こうも読む気が違ってきます。あの頃吸った、京都の空気を思い出しながら読みました。

この本を読んでみてください係数 85/100

我が道を進む成瀬の人生は、今日も誰かと交差している。そんな中、幼馴染の島崎が故郷へ帰ると、まさかの事態が・・・・・・・。読み応えますますパワーアップの全5編。

「島崎、わたしはこの夏を西武に捧げようと思う」。中2の夏休み、幼馴染の成瀬がまた変なことを言い出した。圧巻のデビュー作にして、いまだかつてない傑作青春小説!

◆宮島 未奈
1983年静岡県富士市生まれ。滋賀県大津市在住。
京都大学文学部卒業。

作品 2018年 「二位の君」 で第196回コバルト短編小説新人賞を受賞 (宮島ムー名義)。2021年 「ありがとう西武大津店」 で第20回 「女による女のためのR – 18文学賞」 大賞、読者賞、友近賞をトリプル受賞。2023年同作を含む 『成瀬は天下を取りにいく』 でデビュー、第39回坪田譲治文学賞、第21回本屋大賞ほか数多くの賞を受賞した。2024年続編の 『成瀬は信じた道をいく』 を刊行。本書は 「成瀬あかりシリーズ」 三作目にあたる。ほかの著書に 『婚活マエストロ』 『それいけ! 平安部』 がある。

関連記事

『ナイフ』(重松清)_書評という名の読書感想文

『ナイフ』重松 清 新潮社 1997年11月20日発行 「悪いんだけど、死んでくれない? 」あ

記事を読む

『生命式』(村田沙耶香)_書評という名の読書感想文

『生命式』村田 沙耶香 河出文庫 2022年5月20日初版発行 正常は発狂の一種 

記事を読む

『風の歌を聴け』(村上春樹)_書評という名の読書感想文(書評その1)

『風の歌を聴け』(書評その1)村上 春樹 講談社 1979年7月25日第一刷 もう何度読み返した

記事を読む

『月魚』(三浦しをん)_書評という名の読書感想文

『月魚』三浦 しをん 角川文庫 2004年5月25日初版 古書店 『無窮堂』 の若き当主、真志喜と

記事を読む

『満月と近鉄』(前野ひろみち)_書評という名の読書感想文

『満月と近鉄』前野 ひろみち 角川文庫 2020年5月25日初版 小説家を志して実

記事を読む

『回転木馬のデッド・ヒート』(村上春樹)_書評という名の読書感想文

『回転木馬のデッド・ヒート』村上 春樹 講談社 1985年10月15日第一刷 村上春樹が30

記事を読む

『野良犬の値段』上・下 (百田尚樹)_書評という名の読書感想文

『野良犬の値段』上・下 百田 尚樹 幻冬舎文庫 2022年5月15日初版 稀代の

記事を読む

『貞子』(牧野修)_書評という名の読書感想文

『貞子』牧野 修 角川ホラー文庫 2019年4月29日初版 ※本書は、映画 『貞子』

記事を読む

『なりすまし』(越尾圭)_書評という名の読書感想文

『なりすまし』越尾 圭 ハルキ文庫 2025年5月18日 第1刷発行 松本清張以来の社会派ミ

記事を読む

『虹』(周防柳)_書評という名の読書感想文

『虹』周防 柳 集英社文庫 2018年3月25日第一刷 二十歳の女子大生が溺死体で発見された。両手

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

『僕の女を探しているんだ』(井上荒野)_書評という名の読書感想文

『僕の女を探しているんだ』井上 荒野 新潮文庫 2026年1月1日

『この本を盗む者は』(深緑野分)_書評という名の読書感想文

『この本を盗む者は』深緑 野分 角川文庫 2025年11月5日 8版

『いつも彼らはどこかに』(小川洋子)_書評という名の読書感想文

『いつも彼らはどこかに』小川 洋子 新潮文庫 2025年11月25日

『新しい花が咲く/ぼんぼん彩句』(宮部みゆき)_書評という名の読書感想文

『新しい花が咲く/ぼんぼん彩句』宮部 みゆき 新潮文庫 2025年1

『スピーチ』(まさきとしか)_書評という名の読書感想文

『スピーチ』まさき としか 幻冬舎 2025年9月25日 第1刷発行

→もっと見る

  • 3 にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
PAGE TOP ↑