『殺戮の狂詩曲 (ラプソディ)』(中山七里)_書評という名の読書感想文
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『殺戮の狂詩曲 (ラプソディ)』(中山七里), 中山七里, 作家別(な行), 書評(さ行)
『殺戮の狂詩曲 (ラプソディ)』中山 七里 講談社文庫 2026年4月15日 第1刷発行
御子柴弁護士の 「正義」 「無実だろうと真犯人だろうと関係ない。依頼人の利益になる判決を勝ち取るだけだ」

老人ホームの無防備な入所者を次々に殺害した “最凶“ 被告人を、悪辣弁護士・御子柴礼司は救えるのか。
少年時代に殺人を犯したが、のちに氏名を変え、弁護士となった御子柴礼司。常識外れの論理と禁じ手すれすれの証拠を駆使し、悪評まみれの御子柴が、高級老人ホームの入所者九名を惨殺した男性介護職員の弁護を引き受ける。自らの凶行を崇高な使命だとうそぶく被告人の真意とは? シリーズ屈指の衝撃作。(講談社文庫)
[目 次]
一 非道の被疑者
二 邪悪の弁護人
三 悲嘆の遺族
四 それぞれの十字架
エピローグ
読むとすぐに気づくのですが、話のモデルは、2016年7月26日未明に発生した、当時26歳の元施設職員・植松聖が自身が勤める神奈川県立の知的障害者福祉施設・津久井やまゆり園に侵入し、施設の入所者19名を殺害、入所者および職員26名を負傷させた、あの事件です。被害に遭った方の人数もさることながら、世間を震撼させたのは、植松が語った、とんでもない “動機“ でした。この小説はそれとよく似た話で、植松に似て非なる一人の青年が登場します。
詳しくは書きません。以下は、中山作品の “べた褒め“ 解説の冒頭部分です。なぜ私は中山作品が好きなのか、どこに惹かれるのだろうと考えていたら、(あたりまえですが、私が書くより何倍も正確でわかりやすい) ベストなコメントを見つけました。それを紹介したいと思います。
何とパワフルな物語なのだろう。これだ、こういう小説を待ち望んでいた。一冊まるごとゾクゾクする感覚が続き、ざわめきが止まらない。リーガル・ミステリーの最高峰としての評価も高く、マニアを唸らせるばかりか、圧倒的な読みやすさも魅力的でビギナーでも手に取りやすい。
問答無用、常に一線を越えた面白さがあり、強烈なインパクトを放ち続ける中山七里作品を評するに、いったいどんな言葉が相応しいだろうか。「衝撃」 や 「驚愕」 では軽すぎる。「打ちのめされる」 というよりも 「撃ち抜かれる」 感覚だ。
切れ味の鋭い展開で読む者の心を確実に捉え、虜にさせて抜け出せなくする。読者を恐怖のどん底におびき寄せる、と同時に 「沼」 のような至福の読書体験を与えるのだ。この世のものではない得体の知れない怪物に取り憑かれたようなムードが漂う。
この面白さを一度知ったら最後、誰もが拡散したくなるはずだ。ヒット作を次々と世に送り出し続け、読後の深い余韻が心に残る。中山七里は、まさにいま最も実力のある極上の 「スナイパー」 なのかもしれない。(解説より/by 内田剛)
※中山七里 (なかやま・しちり) ・・・・・・・みなさんは著者のこの名前の由来をご存じでしょうか。岐阜県の有名な観光地、高山・下呂方面から岐阜市内に抜ける山道、渓谷を 「中山七里」 と呼びます。著者の作品を初めて読んだのは10年ほど前になりますが、ペンネームを見た時は、思わず笑ってしまいました。旅行の仕事をしていた私は、そのとき既に何度も観光バスで 「中山七里」 を行き来しており、なんてふざけた名前なんだと。岐阜の出身というのはわかりますが、よくぞ付けたものだと。
数えてみたのですが、読んだ本は本作で50冊になりました。初めて読んだのが 『切り裂きジャックの告白』 で、欠かさず読むようになったのは 『連続殺人鬼カエル男』 を読んだ後からだったと思います。私の一番は、(あまたある候補を退けて) 『護られなかった者たちへ』 でしょうか。これは泣きました。
この本を読んでみてください係数 85/100

◆中山 七里
1961年岐阜県生まれ。
花園大学文学部国文科卒業。
作品 「切り裂きジャックの告白」「七色の毒」「さよならドビュッシー」「闘う君の唄を」「嗤う淑女」「魔女は甦る」「連続殺人鬼カエル男」「護られなかった者たちへ」「能面検事」 シリーズ他多数
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