『をんごく』 (北沢陶)_書評という名の読書感想文
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『をんごく』 (北沢陶), 作家別(か行), 北沢陶, 書評(あ行)
『をんごく』 北沢 陶 角川ホラー文庫 2026年6月25日 初版発行
最愛の妻をこの世に留めるものは愛か呪いか 選考委員絶賛! 横溝正史ミステリ&ホラー大賞 史上初三冠制覇

怖い。なのに、泣ける。極上の大正ホラー!
大正時代、大阪・船場。画家の壮一郎は妻・倭子の死を受け入れられず、口寄せの巫女のもとを訪れる。しかし降霊は失敗し、巫女は警告した。「奥さんな、去んではらへんかもしれへん - 気をつけなはれな」 白粉の匂い、気に入りの簪・・・・・・・小さな怪異と亡き妻の気配が家中に漂いはじめた頃、異形と化した倭子の霊が現れる。霊について探る最中、壮一郎はエリマキと呼ばれる顔のない存在と出会い、忌まわしい事実を知ることとなる - 。(角川ホラー文庫)
目 次
第一幕 四天王寺樒口寄
第二幕 心斎橋紅襟巻
第三幕 鰻谷扇恋塚
第四幕 船場紅地獄廻唄
第五幕 信濃橋筆彩
冒頭数ページを読んだ時点で、「自分は今、生涯忘れられない読書をしている」 と確信することが稀にある。
本編のあとにある解説のことをいきなり書くのも何なのですが、(朝宮運河氏の手になる)それはこんな文章で始まっています。私、もうこれだけでいいんじゃないかと。言いたいことは伝わったのではないかと思いました。
思い出すのは、例えば、千早茜の 『魚神 (いおがみ)』 を読んだときのことです。人と人ならざるものがおり、この世とあの世を行き交うような状況で、やがてそれらは互いの存在を強く意識し合うようになる、というような。そんな話が私は大好きで、何もかもが違うのですが、『をんごく』 と 『魚神』 はどこか似た空気を感じました。そして、この先ずっと忘れることはないだろうと。それくらい、強く印象に残りました。
※千早茜の 『魚神』 は集英社文庫 (2012年1月25日第1刷) で読むことができます。第21回小説すばる新人賞、第37回泉鏡花文学賞を受賞しています。ぜひ一度、手に取ってみてください。
この本を読んでみてください係数 85/100

◆北沢 陶
大阪府出身。イギリス・ニューカッスル大学大学院英文学・英語研究科修士課程修了。
2023年、「をんごく」 で第43回横溝正史ミステリ&ホラー大賞 〈大賞〉 〈読者賞〉 〈カクヨム賞〉 をトリプル受賞し、デビュー。その他の著書に 『骨を喰む真珠』 『花檻の園』 がある。
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