『螺旋の手術室』(知念実希人)_書評という名の読書感想文

公開日: : 最終更新日:2024/01/11 『螺旋の手術室』(知念実希人), 作家別(た行), 書評(ら行), 知念実希人

『螺旋の手術室』知念 実希人 新潮文庫 2017年10月1日発行

読書メーター読みたい本ランキング第1位。驚愕のどんでん返し!!
手術室での不可解な死。次々と殺される教授選の候補者たち。事件に秘められたある想いとは・・・・・・・。

純正会医科大学附属病院の教授選の候補だった冴木真也准教授が、手術中に不可解な死を遂げた。彼と教授の座を争っていた医師もまた、暴漢に襲われ殺害される。二つの死の繋がりとは。大学を探っていた探偵が遺した謎の言葉の意味は。父・真也の死に疑問を感じた裕也は、同じ医師として調査を始めるが・・・・・・・。「完全犯罪」に潜む医師の苦悩を描く、慟哭の医療ミステリー。『ブラッドライン』改題。(アマゾン内容紹介より)

第一章 手術室の悪夢
第二章 血塗られた教授選
幕間
第三章 錯乱のメス
第四章 非情の診断

以上、5部からなる本格医療ミステリー。著者の知念実希人は、現役の内科医師であるらしい。医療にかかる現場の描写はさすがで、他を圧倒するものがあります。循環器系の疾患がもとで手術の経験がある人などは、他人事とは思えないかもしれません。

そして、(詳しくは言えませんが) この物語の背景には、逃れることのできない、ある逼迫の事情が隠されています。「慟哭」 とあるのは、手術室で起こる医療ミスや教授選における泥試合とは別に、ある家族の、ままならぬ人生の悲運があってのことです。

それが 「幕間」 で語られ、後半、物語の風景は一気に色を変えます。読むと、原題が 『ブラッドライン』 であるのがよくわかります。

ハッピーエンドには終わりません。仮にも、もしも自分がそうであったなら。そう思うと、とても辛くなります。頭が真っ白になり呼吸ができず、奈落に落とされたような気分になります。

この本を読んでみてください係数 80/100

◆知念 実希人
1978年沖縄県生まれ。
東京慈恵会医科大学卒業。

作品 「誰がための刃」「天久鷹央」シリーズ、「優しい死神の飼い方」「仮面病棟」「時限病棟」「崩れる脳を抱きしめて」他

関連記事

『ロスト・ケア』(葉真中顕)_書評という名の読書感想文

『ロスト・ケア』葉真中 顕 光文社文庫 2015年4月20日第6刷 戦後犯罪史に残

記事を読む

『雪の練習生』(多和田葉子)_書評という名の読書感想文

『雪の練習生』多和田 葉子 新潮文庫 2023年10月5日 6刷 祝 National Bo

記事を読む

『茄子の輝き』(滝口悠生)_書評という名の読書感想文

『茄子の輝き』滝口 悠生 新潮社 2017年6月30日発行 離婚と大地震。倒産と転職。そんなできご

記事を読む

『青春ぱんだバンド』(瀧上耕)_書評という名の読書感想文

『青春ぱんだバンド』瀧上 耕 小学館文庫 2016年5月12日初版 鼻の奥がツンとする爽快青春小説

記事を読む

『人間失格』(太宰治)_書評という名の読書感想文

『人間失格』太宰 治 新潮文庫 2019年4月25日202刷 「恥の多い生涯を送っ

記事を読む

『流転の魔女』(楊逸/ヤン・イー)_書評という名の読書感想文

『流転の魔女』楊 逸(ヤン・イー) 文春文庫 2015年12月10日第一刷 居酒屋で時給900

記事を読む

『楽園の真下』(荻原浩)_書評という名の読書感想文

『楽園の真下』荻原 浩 文春文庫 2022年4月10日第1刷 「日本でいちばん天国

記事を読む

『とにかくうちに帰ります』(津村記久子)_書評という名の読書感想文

『とにかくうちに帰ります』津村 記久子 新潮社 2012年2月25日発行 「家に帰る以上の価

記事を読む

『噛みあわない会話と、ある過去について』(辻村深月)_書評という名の読書感想文

『噛みあわない会話と、ある過去について』辻村 深月 講談社文庫 2021年10月15日第1刷

記事を読む

『傲慢と善良』(辻村深月)_書評という名の読書感想文

『傲慢と善良』辻村 深月 朝日新聞出版 2019年3月30日第1刷 婚約者が忽然と

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

『闇祓 Yami-Hara』(辻村深月)_書評という名の読書感想文

『闇祓 Yami-Hara』辻村 深月 角川文庫 2024年6月25

『地雷グリコ』(青崎有吾)_書評という名の読書感想文 

『地雷グリコ』青崎 有吾 角川書店 2024年6月20日 8版発行

『アルジャーノンに花束を/新版』(ダニエル・キイス)_書評という名の読書感想文

『アルジャーノンに花束を/新版』ダニエル・キイス 小尾芙佐訳 ハヤカ

『水たまりで息をする』(高瀬隼子)_書評という名の読書感想文

『水たまりで息をする』高瀬 隼子 集英社文庫 2024年5月30日

『黒牢城』(米澤穂信)_書評という名の読書感想文

『黒牢城』米澤 穂信 角川文庫 2024年6月25日 初版発行

→もっと見る

  • 3 にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
PAGE TOP ↑