『賢者の愛』(山田詠美)_書評という名の読書感想文
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最終更新日:2024/01/11
『賢者の愛』(山田詠美), 作家別(や行), 山田詠美, 書評(か行)
『賢者の愛』山田 詠美 中公文庫 2018年1月25日初版
高中真由子は、編集者の父と医師の母のもとで、何不自由なく育てられてきた。真由子が小学生のころ、隣家に二つ年下の百合の家族が引っ越してきて、二人は急速に仲良くなっていく。しかし、真由子が21歳になった冬、百合は真由子が幼いころからずっと思いを寄せてきた澤村諒一の子どもを妊娠したと告白した。その日から、真由子の復讐が始まる - 。諒一と百合の子どもの名付け親になった真由子は、『痴人の愛』の「ナオミ」から、二人の息子に「直巳」と名付け、彼を「調教」していく。直巳が二十歳の誕生日を迎えた日、真由子は初めて、直巳に体を許す。それが最初で最後となるとも知らず・・・・・・・。主演・中山美穂のテレビドラマも大きな話題を呼んだ、絢爛豪華な愛憎劇! (アマゾン内容紹介より)
ある時期集中して「山田詠美」を読んだ。時々はこの人の小説を読むことが必要だ、と強く感じた。私にとって「山田詠美」は、(他の誰とも違う)いわばカンフル剤のような存在で、読むと、その都度思い知らされることになる。ひどく落ち込みもする。
自分の思うことすべてが「凡庸」であるような。ほかに「違う世界」があるような。そのことこそを、思い知れと。世界はおまえが思う以上に複雑で、始末に負えないものに充ち満ちている。ありきたりに依らず、それを解れと。
私は私のやり方で、あなたの息子を愛してみせる。真由子は、長い間、何度もくり返された決意を、改めて心の内に甦らせながら不敵な笑みを浮かべるのでした。愛を復讐に使うこと。それが彼女の選んだ方法だったのです。
真由子は、百合の息子・直巳を、知らず知らずのうちに母の百合から遠ざけようとします。幼い直巳を、母を母と思わぬように仕向け、自らが「育て上げよう」とします。
それは背徳の限りを尽くした方法で、悪意に充ち、容赦がありません。なぜなら真由子は親友であるはずの百合から、かつて想いを寄せた百合の夫・諒一から、それ相応の手ひどい仕打ちを被ったのですから。彼女の敵意は、二人に生まれた息子・直巳へと向かいます。
そうとは知らず、直巳は真由子を受け入れ、母の百合以上に真由子を慕うようになります。但し、「母のように」ではありません。母とは違い、時に教師のように、時には歳の離れた姉のように。そして常には娼婦の気配を漂わせ、若い直巳の心と体を揺さぶり続けます。
結果直巳は、22歳も年上の、真由子の(体の)虜になります。
この本を読んでみてください係数 85/100
◆山田 詠美
1959年東京都板橋区生まれ。
明治大学日本文学科中退。
作品 「僕は勉強ができない」「蝶々の纏足・風葬の教室」「ソウル・ミュージック ラバーズ・オンリー」「ベッドタイムアイズ」「色彩の息子」「学問」「放課後の音符」「風味絶佳」他多数
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