『さよなら、田中さん』(鈴木るりか)_書評という名の読書感想文
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最終更新日:2024/01/10
『さよなら、田中さん』(鈴木るりか), 作家別(さ行), 書評(さ行), 鈴木るりか
『さよなら、田中さん』鈴木 るりか 小学館 2017年10月17日初版
花実はじつにあっけらかんとしています。自分の家が貧乏であること。母が(建築現場や解体現場で)力仕事をしていること。死んだと母は言うけれど、顔さえ知らぬ父親は実は行方知れずで、罪人として囚われているのかもしれないということ、などなど・・・・・・・
さまざま思いはあるものの、花実はそれらの「逆境」をものともしません。内に抱えてあれこれ考えはするものの、彼女は簡単に落ち込んだりしません。今ある現状をしかと認識し、出来得る限りポジティブであろうと頑張ります。
強いというより、むしろ花実は〈賢い〉のだと思います。賢いのは、母もまたそう。母と花実は、わが身にかかる「不幸」を単に不幸と考えず、笑い飛ばせるだけの「知恵」があります。
感心し、感動し、胸の詰まる思いがします。もしかするとあなたは、涙するかも知れません。
田中花実は小学6年生。ビンボーな母子家庭だけれど、底抜けに明るいお母さんと、毎日大笑い、大食らいで過ごしている。そんな花実とお母さんを中心とした日常の大事件やささいな出来事を、時に可笑しく、時にはホロッと泣かせる筆致で描ききる。今までにないみずみずしい目線と鮮やかな感性で綴られた文章には、新鮮な驚きが。
友人とお父さんのほろ苦い交流を描く 「いつかどこかで」、お母さんの再婚劇に奔走する花実の姿が切ない 「花も実もある」、小学4年生時の初受賞作を大幅改稿した 「Dランドは遠い」、田中母娘らしい七五三の思い出を綴った 「銀杏拾い」、中学受験と、そこにまつわる現代の毒親子を子供の目線でみずみずしく描ききった 「さよなら、田中さん」。全5編収録。(小学館)
※〈編集者からのおすすめ情報〉を紹介しておきます。ぜひ手に取ってみてください。
この秋(昨年10月)、出版界の話題をさらう新人作家がデビューします。その名は、鈴木るりか。平成15年生まれの中学二年生。小学館が主催する「12歳の文学賞」史上初3年連続大賞受賞。その際、あさのあつこ氏、石田衣良氏、西原理恵子氏ら先生方から大絶賛を受けましたが、すごいのはその先です。受賞作をもとに、連作短編集に仕上げるため書き下ろし原稿を依頼したのですが、その進化がめざましく、3編の素晴らしい原稿が上がってきました。著者14歳の誕生日に、待望のデビュー作を刊行します。是非、この新しい才能を感じてください。(小学館webサイトより)
この本を読んでみてください係数 85/100
◆鈴木 るりか
2003年10月17日東京都生まれ。
史上初、小学4年生、5年生、6年生時に3年連続で小学館主催『12歳の文学賞』大賞を受賞する。現在、都内の中学校2年生在学中。好きな作家:志賀直哉、吉村昭
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