『EPITAPH東京』(恩田陸)_書評という名の読書感想文
公開日:
:
最終更新日:2024/01/10
『EPITAPH東京』(恩田陸), 作家別(あ行), 恩田陸, 書評(あ行)
『EPITAPH東京』恩田 陸 朝日文庫 2018年4月30日第一刷
東日本大震災を経て、刻々と変貌していく《東京》を舞台にした戯曲 『エピタフ東京』 をかきあぐねている “筆者K” は、吸血鬼だと名乗る吉屋と出会う。彼は 「東京の秘密を探るためのポイントは、死者です」 と囁きかけるのだが・・・・・・・。スピンオフ小説 「悪い春」を特別収録。(朝日文庫)
帯に - 将門の首塚、天皇陵・・・・・・・東京の死者の痕跡をたどる筆者の日常が描かれる「Piece」。徐々に完成に向かう戯曲の内容が明かされる作中作「エピタフ東京」。吉屋の視点から語られる「drawing」。 三つの物語がたどり着く、その先にあるものとは - 。
ジャンルを越境していく、恩田ワールドの真骨頂!! とあります。
これは大都市「東京」の、そこで逝き去った数多の死者の霊を思い、如何なる墓碑銘が妥当であるかを探る、いわば歴史探訪の物語?
東日本大震災に端を発し、やがて来る2020年「東京オリンピック」に思いを馳せて憂う思索の連なりは、それが何だというのでしょう。 吸血鬼? 何がために女たちは殺人を繰り返すのか?
さっぱりわかりません。
売れるとこんなものでも本になる。普通は出せないし、出させない。恩田さん、いくらなんでも、これは 「越境」 し過ぎではないでしょうか。
この本を読んでみてください係数 75/100
◆恩田 陸
1964年青森県青森市生まれ。宮城県仙台市出身。
早稲田大学教育学部卒業。
作品 「六番目の小夜子」「夜のピクニック」「ユージニア」「中庭の出来事」「木洩れ日に泳ぐ魚」「蜜蜂と遠雷」他多数
関連記事
-
『貘の耳たぶ』(芦沢央)_取り替えた、母。取り替えられた、母。
『貘の耳たぶ』芦沢 央 幻冬舎文庫 2020年2月10日初版 あの子は、私の子だ。
-
『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』(江國香織)_書評という名の読書感想文
『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』江國 香織 集英社 2002年3月10日第一刷 It
-
『夫の墓には入りません』(垣谷美雨)_書評という名の読書感想文
『夫の墓には入りません』垣谷 美雨 中公文庫 2019年1月25日初版 どうして悲し
-
『ぼっけえ、きょうてえ』(岩井志麻子)_書評という名の読書感想文
『ぼっけえ、きょうてえ』岩井 志麻子 角川書店 1999年10月30日初版 連日、うだるような暑
-
『そこへ行くな』(井上荒野)_書評という名の読書感想文
『そこへ行くな』井上 荒野 集英社文庫 2014年9月16日第2刷 長年一緒に暮ら
-
『その話は今日はやめておきましょう』(井上荒野)_書評という名の読書感想文
『その話は今日はやめておきましょう』井上 荒野 毎日新聞出版 2018年5月25日発行 定年後の誤
-
『愚者の毒』(宇佐美まこと)_書評という名の読書感想文
『愚者の毒』宇佐美 まこと 祥伝社文庫 2017年9月10日第4刷 1985年、上
-
『あん』(ドリアン助川)_書評という名の読書感想文
『あん』ドリアン助川 ポプラ文庫 2015年4月15日第一刷 線路沿いから一本路地を抜けたところに
-
『いっそこの手で殺せたら』(小倉日向)_書評という名の読書感想文
『いっそこの手で殺せたら』小倉 日向 双葉文庫 2024年5月18日 第1刷発行 覚悟がある
-
『バールの正しい使い方』(青本雪平)_書評という名の読書感想文
『バールの正しい使い方』青本 雪平 徳間書店 2022年12月31日初刷 僕たちは