『家族の言い訳』(森浩美)_書評という名の読書感想文

公開日: : 最終更新日:2024/01/10 『家族の言い訳』(森浩美), 作家別(ま行), 書評(か行), 森浩美

『家族の言い訳』森 浩美 双葉文庫 2018年12月17日36刷

帯に大きく - 上を向いて読んでください 涙がこぼれてしまいます。- とあります。

家族に悩まされ、家族に助けられている。誰の人生だってたくさんの痛み、苦しみ、そして喜びに溢れている - 。作詞家・森浩美がその筆才を小説に振るい、リアルな設定の上に 「大人の純粋さ」 を浮かび上がらせた。『ホタルの熱』 『おかあちゃんの口紅』 はラジオドラマや入試問題にもなった出色の感動作。あなたの中の 「いい人」 にきっと出会える、まっすぐな人生小説をお届けします。(双葉文庫)

荻野目洋子のシングル 『Dance Beat は夜明けまで』 が初登場で4位を記録。その後、森川由加里の 『SHOW ME』 や田原俊彦の 『抱きしめてTONIGHT』 などのヒットが続き、SMAPに至ってはデビュー曲の 『C’ant Stop!! – LOVIG – 』 をはじめとして『青いイナズマ』 『SHAKE』 『ダイナマイト』 など、数多くの歌詞を手掛けた人物 - といえばどうでしょう? 

作詞家で脚本家の森浩美(男性) は、近年 「家族」 をテーマとする多くの小説を上梓しています。本作 『家族の言い訳』 はそのとっかかり、いっとう最初の作品集です。(初出は2006年、双葉社より)

文庫で36刷、販売部数は20万部を突破。売れているのは確かなようで、だから読んでみようと。

ただ、「上を向いて読んでください 涙がこぼれてしまいます。」 とは如何にも大袈裟で、本当だろうか? というのはちょっとありました。ことによると読者を甘く見ているような、そんな予感があるにはありました。

(私が) 泣いたかどうか? それは書かないでおきます。

みなさんなら、どうなのでしょう。試しに 『ホタルの熱』 『おかあちゃんの口紅』 の二つだけでも読んでみてください。

収録作品
1.ホタルの熱
2.乾いた声でも
3.星空への寄り道
4.カレーの匂い
5.柿の代わり
6.おかあちゃんの口紅
7.イブのクレヨン
8.粉雪のキャッチボール

この本を読んでみてください係数  70/100

◆森 浩美
放送作家を経て、1983年より作詞家として活躍。

作品 「家族小説」シリーズ、「夏を拾いに」「ひとごと」「家族連写」「終の日までの」他多数

関連記事

『賢者の愛』(山田詠美)_書評という名の読書感想文

『賢者の愛』山田 詠美 中公文庫 2018年1月25日初版 高中真由子は、編集者の父と医師の母のも

記事を読む

『今夜は眠れない』(宮部みゆき)_書評という名の読書感想文

『今夜は眠れない』宮部 みゆき 角川文庫 2022年10月30日57版発行 "放浪

記事を読む

『血縁』(長岡弘樹)_書評という名の読書感想文

『血縁』長岡 弘樹 集英社文庫 2019年9月25日第1刷 コンビニの店員が男にナ

記事を読む

『向こう側の、ヨーコ』(真梨幸子)_書評という名の読書感想文

『向こう側の、ヨーコ』真梨 幸子 光文社文庫 2020年9月20日初版 1974年

記事を読む

『私が失敗した理由は』(真梨幸子)_書評という名の読書感想文

『私が失敗した理由は』真梨 幸子 講談社文庫 2019年9月13日第1刷 ・・・・

記事を読む

『後妻業』黒川博行_書評という名の読書感想文(その1)

『後妻業』(その1) 黒川 博行 文芸春秋 2014年8月30日第一刷 とうとう、本当にとう

記事を読む

『花の鎖』(湊かなえ)_書評という名の読書感想文

『花の鎖』湊 かなえ 文春文庫 2018年8月1日19刷 両親を亡くし仕事も失った矢先に祖母がガン

記事を読む

『琥珀の夏』(辻村深月)_書評という名の読書感想文

『琥珀の夏』辻村 深月 文春文庫 2023年9月10日第1刷 見つかったのは、ミカ

記事を読む

『こちらあみ子』(今村夏子)_書評という名の読書感想文

『こちらあみ子』今村 夏子 ちくま文庫 2014年6月10日第一刷 あみ子は、少し風変りな女の子。

記事を読む

『凶獣』(石原慎太郎)_書評という名の読書感想文

『凶獣』石原 慎太郎 幻冬舎 2017年9月20日第一刷 神はなぜこのような人間を創ったのか?

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

『小説 木の上の軍隊 』(平一紘)_書評という名の読書感想文

『小説 木の上の軍隊 』著 平 一紘 (脚本・監督) 原作 「木の上

『能面検事の死闘』(中山七里)_書評という名の読書感想文 

『能面検事の死闘』中山 七里 光文社文庫 2025年6月20日 初版

『編めば編むほどわたしはわたしになっていった』(三國万里子)_書評という名の読書感想文

『編めば編むほどわたしはわたしになっていった』三國 万里子 新潮文庫

『イエスの生涯』(遠藤周作)_書評という名の読書感想文

『イエスの生涯』遠藤 周作 新潮文庫 2022年4月20日 75刷

『なりすまし』(越尾圭)_書評という名の読書感想文

『なりすまし』越尾 圭 ハルキ文庫 2025年5月18日 第1刷発行

→もっと見る

  • 3 にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
PAGE TOP ↑