『白衣の嘘』(長岡弘樹)_書評という名の読書感想文
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最終更新日:2024/01/09
『白衣の嘘』(長岡弘樹), 作家別(な行), 書評(は行), 長岡弘樹
『白衣の嘘』長岡 弘樹 角川文庫 2019年1月25日初版

苦手な縫合の練習のため、シミュレーターに向かう内科医の副島。彼が担当した女性患者はある秘密を抱えていた (「最後の良薬」)。バレーボール日本代表の彩夏と、医者である姉の多佳子。2人は実家に向かう途中でトンネル崩落事故に巻き込まれてしまう。運転席に閉じ込められた妹に対して多佳子がとった意外な行動とは (「涙の成分比」)。医療の現場を舞台に描き出す、鮮やかな謎と予想外の結末。名手による傑作ミステリ集。(角川文庫)
医療の現場を巡るミステリーが6編。何気に始まる物語の最後には、思いもしない結末が・・・・・・・。おそらくは、誰も見抜けないだろうと。あなたはきっと騙されます。
[最後の良薬]
とある地方の個人病院でのことです。内科医として勤務する副島は、末期がんを患った女性患者・杉野有葵子の担当を命じられます。早速に治療をはじめた副島だったのですが、有葵子は返事さえしません。明らかに反感を抱いています。
[涙の成分比]
バレーボールの選抜選手として活躍する彩は、トンネル事故に巻き込まれ、片足を失ってしまいます。姉の多佳子が勤務する病院のベッドで悲嘆に暮れ、彼女は自暴自棄になります。ところが今度は、姉の多佳子がクモ膜下出血で緊急入院することになります。
[小医は病を医し]
町役場に勤める角谷は、仕事中に心筋梗塞を起こし、隣町にある医療センターへと搬送されます。主治医の岸部は角谷に対し、成し遂げたいと思っている目標を強く意識することが病に打ち勝つ最大の秘訣だと諭します。やがて角谷は、喬木という無口な男と相部屋を命じられます。
[ステップ・バイ・ステップ]
外科医の上郷は、体調不良で一週間ほど休んでいる研修医・内山亜沙子のマンションを訪ね、鬱を患っているらしい亜沙子に治療を受けさせるための一計を案じます。彼女が住むマンションから病院までを一週間かけて少しずつ、ステップ・バイ・ステップで進むことを約束させます。
[彼岸の坂道]
物語の主人公・友瀬は、総合病院の救命医療センターに勤める医師。現センター長の津嘉山は、半年後に退職することが決まっています。次期センター長の椅子に座るのは友瀬か、ライバルの生原か - 周囲の注目が集まる中、津嘉山が大怪我を負い、センターに搬送されて来るという事態が発生します。何者かに背中を押され、崖から転落したというのです。
[小さな約束]
刑事としてハードな職務をこなす実鈴はある日腎不全を患い、人工透析が必要な体になってしまいます。完治するには腎移植手術を受けるしかありません。同じ警察官で弟の秀通は、腎臓を提供したいと主治医の貞森に伝えるのですが・・・・・・・。
事の真相は、先の、その先にあります。思う通りには終わりません。
この本を読んでみてください係数 80/100

◆長岡 弘樹
1969年山形県山形市生まれ。
筑波大学第一学群社会学類卒業。
作品 「陽だまりの偽り」「傍聞き」「教場」「教場2 」「線の波紋」「波形の声」「群青のタンデム」他
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