『鈴木ごっこ』(木下半太)_書評という名の読書感想文

公開日: : 最終更新日:2026/04/23 『鈴木ごっこ』(木下半太), 作家別(か行), 書評(さ行), 木下半太

『鈴木ごっこ』木下 半太 幻冬舎文庫 2015年6月10日初版

世田谷区のある空き家にわけありの男女四人 (男三人、女一人) が集められる。四人には、ヤクザに多額の借金があった。借金を返済するためには、『鈴木』 を名乗り、家族を演じること。一年間、近所に気づかれず家族として過ごせれば借金がチャラになるのだ。

戸惑いながらも、家族を演じる四人。三ヶ月後、ヤクザから新しい指令が出る。「隣の二階堂家の奥さんを落とせ」 驚く四人は、何とか協力し、隣の奥さんを落とす作戦に出る。その中で、四人は自分の人生を振り返って反省し、生まれ変わる決意をする。

そして、一年が経ち、鈴木として最後の日。『鈴木ごっこ』 の秘密が明かされる・・・・・・・。(木下半太オフィシャルブログより)

タイトルに惹かれて読んでみました。話の内容は大凡わかると思うのですが、帯に 「まったくの他人である4人の男女が 「鈴木家」 を演じる疑似家族ゲーム! 」 とあり、「ラスト7行の恐怖にあなたは耐えられるか?」 と、やや大げさな文字が踊っています。

夏には映画になることが決まっているようです。映画のタイトルは 『家族ごっこ』、不思議な家族をテーマにしたシュールなオムニバス映画というふれ込みです。ちなみに 「鈴木ごっこ」 の他には 「佐藤家の通夜」 「父の愛人たち」 「貧乳クラブ」 「高橋マニア」・・・・・・・、何やら 「世にも奇妙な物語」 風で面白そうではないですか。

こうなったら、宣伝ついでに主な出演者を紹介しておくと、今が人気の斎藤工を始めとして、柄本時生、小林茂光、霧島れいか、といった面々。監督はもちろん著者である木下半太。元々この人の本業はお芝居ですから、これは当然のこと。映画の公開は8月1日の土曜日から。新宿K’s cinema 他を皮切りに、全国順次公開予定となっています。

ж

すみません。ここまではほぼ全面的に文庫に巻かれた帯の受け売りです。手抜きと言われても致し方ないところですが、これでもちゃんと読むには読んでおり、読んだ上で敢えて言いますが、映画の方がきっと面白い。そんな気がします。

小説がダメだと言うわけではないのですが、上手く出来ていてすんなり読める分、後に残るインパクトが少々弱くてあっけない。これがドラマの演出にかかれば、かなりゾッとする後味に仕上がると思います。

その違いを確認するために、まずはこの本を読み、そして映画を観ようではありませんか。夏休みのささやかな娯楽にはなると思います。

この本を読んでみてください係数 75/100


◆木下 半太
1974年大阪府茨木市生まれ。
18歳で予備校に通いながらパチプロになるが、大学受験は失敗。劇団「渋谷ニコルソンズ」主宰。

作品 「悪夢のエレベーター」「悪夢の観覧車」「悪夢の六号室」「宝探しトラジェディー」「オーシティー」「サンブンノイチ」他多数

◇ブログランキング

いつも応援クリックありがとうございます。
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ

関連記事

『そして、海の泡になる』(葉真中顕)_書評という名の読書感想文

『そして、海の泡になる』葉真中 顕 朝日文庫 2023年12月30日 第1刷発行 『ロスト・

記事を読む

『砂漠ダンス』(山下澄人)_書評という名の読書感想文

『砂漠ダンス』山下 澄人 河出文庫 2017年3月30日初版 「砂漠へ行きたいと考えたのはテレビで

記事を読む

『ジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンス』(滝口悠生)_書評という名の読書感想文

『ジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンス』滝口 悠生 新潮文庫 2018年4月1日発行 東北へのバ

記事を読む

『銃とチョコレート 』(乙一)_書評という名の読書感想文

『銃とチョコレート』 乙一 講談社文庫 2016年7月15日第一刷 大富豪の家を狙い財宝を盗み続け

記事を読む

『この地獄を生きるのだ』(小林エリコ)_書評という名の読書感想文

『この地獄を生きるのだ』小林 エリコ ちくま文庫 2025年11月10日 第1刷発行 うつ病

記事を読む

『月と雷』(角田光代)_書評という名の読書感想文

『月と雷』角田 光代 中央公論新社 2012年7月10日初版 大人になっても普通の生活ができ

記事を読む

『自由なサメと人間たちの夢』(渡辺優)_書評という名の読書感想文

『自由なサメと人間たちの夢』渡辺 優 集英社文庫 2019年1月25日第一刷 痛快

記事を読む

『砂上』(桜木紫乃)_書評という名の読書感想文 

『砂上』桜木 紫乃 角川文庫 2020年7月25日初版 「あなた、なぜ小説を書くん

記事を読む

『少女架刑 吉村昭自選初期短篇集Ⅰ』(吉村昭)_書評という名の読書感想文

『少女架刑 吉村昭自選初期短篇集Ⅰ』吉村 昭 中公文庫 2024年8月30日 5刷発行

記事を読む

『三面記事小説』(角田光代)_書評という名の読書感想文

『三面記事小説』角田 光代 文芸春秋 2007年9月30日第一刷 「愛の巣」:夫が殺した不倫

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

『それは誠』(乗代雄介)_書評という名の読書感想文

『それは誠』乗代 雄介 文春文庫 2026年4月10日 第1刷

『けんちゃん』 (こだま)_書評という名の読書感想文

『けんちゃん』 こだま 扶桑社 2026年1月20日 初版第1刷発行

『ジャクソンひとり』 (安堂ホセ)_書評という名の読書感想文

『ジャクソンひとり』 安堂 ホセ 河出文庫 2025年5月20日 初

『日暮れのあと』(小池真理子)_書評という名の読書感想文

『日暮れのあと』小池 真理子 文春文庫 2026年4月10日 第1刷

『イン・ザ・メガチャーチ』(朝井リョウ)_書評という名の読書感想文

『イン・ザ・メガチャーチ』朝井 リョウ 日本経済新聞出版 2026年

→もっと見る

  • 3 にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
PAGE TOP ↑