『救いたくない命/俺たちは神じゃない2』(中山祐次郎)_書評という名の読書感想文
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『救いたくない命/俺たちは神じゃない2』(中山祐次郎), 中山祐次郎, 作家別(な行), 書評(さ行)
『救いたくない命/俺たちは神じゃない2』中山 祐次郎 新潮文庫 2024年10月1日発行
外科医コンビの活躍を描く 『泣くな研修医』 著者のもうひとつの代表作

俺たちが患者の生死を決めていいのか?
死線をさまよう殺人犯、末期癌になった恩師。麻布中央病院に勤める剣崎啓介と松島直武はさまざまな患者を手術する。つらいことばかりではない。彼らが救った青年が医学部進学の夢を抱いたのだから。夏のある日、剣崎は腹痛に襲われる。この症状は何だっけ? 誰でも患者になる。そう、医者だって。頼れる相棒にして親友、凄腕外科医コンビの活躍を描く、医療エンターテインメント第2弾。(新潮文庫)
[目次]
救いたくない命
午前4時の惜別
医学生、誕生
メスを擱いた男
白昼の5分間
患者名・剣崎啓介
この物語の主人公・剣崎啓介にとって唯一無二、最強のバディが同じ外科医の松島直武でした。剣崎がヒーローと呼ぶ松島は、一見天下無双、怖いものなしの、ある意味 “医者らしからぬ医者“ です。遠慮なく話す松島は関西弁で、生真面目一方の剣崎とは違い、誰に対しても、分け隔てなくまるで親しい人のように接します。
医者であることを感じさせない気安さで、加えて、知識と経験に裏打ちされた自信と説得力を持ち合わせています。彼は (剣崎からしても) 飛び抜けて優秀な外科医で、私は、(申し訳ないのですが) 主人公である剣崎よりも、むしろそんな松島のファンになりました。
何はともあれ、剣崎・松島コンビがなぜこうも魅力的なのかを考察した一節が解説にあります。それを紹介しましょう。
ひとつは、困難の森を共に搔き分けて進み、見事に命を救うというゴールに絶対的な痛快さがある。即ちエンタメの王道をてらいなく描くことに成功しているという点。もう一つは、「救う」 か 「救わざるべき」 かという哲学的な命題をめぐる葛藤を描くのに、剣崎と松島という中堅の凄腕外科医二名の配置が絶妙であるという点。その二つの理由がまず浮かびました。
前者は、多くの医療物のいわば柱です。でありながら凡百の作品と比べて、中山先生の描写には、圧倒的な緻密さとリアリティーを感じます。(後略)
そして後者においては、「凶悪殺人犯を救うべきか」 「自殺志願者を救うべきか」 など、多くの医療従事者が日々思い悩む命題に、本作でも果敢に切り込んでおられます。剣崎と松島の抱える葛藤は、恐らく中山先生が抱えてらっしゃるものと等しいのであろうと推察します。(解説より)
※これから読もうと思う人を前にして著しく個人的な感想を言うのも何なのですが、読むと同時に、私は松島直武という人物が、あの俳優の 「桐谷健太」 と重なり、それは最後までそうで、今も変わりありません。松島が登場するたび 「桐谷健太」 の顔がちらついて、それはピッタリそのまま 「松島」 なのでした。
この本を読んでみてください係数 85/100

◆中山 祐次郎
1980年神奈川県生まれ。鹿児島大学医学部卒。京都大学大学院で公衆衛生学修士を、福島県立医科大学大学院で医学博士を取得。湘南医療大学臨床教授。消化器外科、とくに大腸癌のプロフェッショナルとして診察と執刀を行う傍ら、執筆を続ける。
作品「医者の本音」「それでも君は医者になるのか」「医者の父が息子に綴る 人生の扉を開く鍵」「泣くな研修医」「俺たちは神じゃない 麻布中央病院外科」など
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