『親方と神様』(伊集院静)_声を出して読んでみてください
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最終更新日:2024/01/08
『親方と神様』(伊集院静), 伊集院静, 作家別(あ行), 書評(あ行)
『親方と神様』伊集院 静 あすなろ書房 2020年2月25日初版

鋼と火だけを相手に、人生の大半を過ごしてきた鍛冶職人の前に現れたのは、澄んだ瞳をした12歳の少年だった。少年は、鍛冶屋になりたいから、仕事を見学させてほしいと言う。年老いた職人は少年のその純粋でひたむきな姿に心が動き見学を許した。少年は毎日訪れるようになり、職人も鍛冶のことを話してやり、二人は心を通わせていった。職人は、少年が鍛冶屋になりたいというのは、子どもの気まぐれだと思っていた。
後日、少年の母親が訪れた。要件は、少年が中学校にいかずに鍛冶職人の修行をしたいと言い出したので断ってくれということだった。しかたなく承諾した職人だったが、自分は口べたなので、少年に話して説得できる自信がなかった。話せば話すほど、少年は自分に裏切られたと思うに違いない。
職人は考えた末、自分が親方から聞いたことを、当時と同じように山へ出かけて、少年に話してみることにした。
山を歩きながら、彼は鍛冶がいかに素晴らしい仕事であるかを少年に話した。それは、説得とはまるで逆の話だったが・・・・・・・。
年老いた鍛冶職人は少年を、いかに育てたのか。
子育てとは。人育てとは? 伊集院静が贈る珠玉の短編小説! (アマゾン内容紹介より)
鍛冶屋の仕事に魅せられ、中学へ行かず鍛冶屋になる夢を持った少年、浩太。彼の夢が単なる夢ではないのを知りながら、浩太を諭す口下手な老職人・六郎が語る話が胸を打ちます。
※木内達朗氏の装画がとても美しい。本棚にそっと飾っておきたいと思う一冊です。
この本を読んでみてください係数 85/100

◆伊集院 静
1950年山口県防府市生まれ。本名、西山忠来。日本に帰化前の氏名は、趙忠來(チョ・チュンレ)立教大学文学部日本文学科卒業。
作品 「皐月」「乳房」「受け月」「機関車先生」「ごろごろ」「ノボさん 小説 正岡子規と夏目漱石」「いねむり先生」「なぎさホテル」他多数
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