『るんびにの子供』(宇佐美まこと)_書評という名の読書感想文
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最終更新日:2024/01/08
『るんびにの子供』(宇佐美まこと), 作家別(あ行), 宇佐美まこと, 書評(ら行)
『るんびにの子供』宇佐美 まこと 角川ホラー文庫 2020年8月25日初版

近づくのを禁止された池で、4人の園児たちは水から上がってくる少女を茫然と見つめていた。後にその女の子を園でも見かけるようになり・・・・・・・(「るんびにの子供」)。ヒモ生活を追い出され悪事の果て古家に辿り着いた男は老夫婦の孫だと騙り同居し始めるが -(「柘榴の家」)。犬の散歩中に見かけた右手の手袋が日に日に自宅に近づいてきていることに気づいた姉は -(「手袋」)。第1回 『幽』 怪談文学賞短編部門大賞受賞作を含む珠玉の怪談集。(角川ホラー文庫)
[収録作品]
・るんびにの子供 (第1回 『幽』 怪談文学賞 〈短編部門〉 大賞受賞作/デビュー作)
・柘榴の家
・手袋
・キリコ
・とびだす絵本
・獺祭
・狼魄 (ラン・ポオー) ※文庫のための書き下ろし
単に怪談話、ホラーというのではなく、上質な手触りがする、人の情念についての譬え話を読まされているような。そんな感じがします。しかも粒ぞろいの。
怖さや残酷さよりまず先にくるのは、内に秘めたやり切れなさと、どこか憐れみに似た感情です。震えがくるのはそのあとです。
池の水面にすくっと立つように浮かぶ少女。その子はまっすぐに空中に浮かび上がろうとしています。- 「お母さんにも見えるんですね。あの子が」
老いた夫の介護に精を出す老婆の家の門の内側には、大きな柘榴の木がありました。
史子が路で拾った黒い手袋。但し、落ちていたのは右手だけでした。
キリコは何も言わないし、何もしません。
とびだす絵本と獺祭は、何より、哀しい余韻に満ちています。
狼魄は、巡り巡って優佳のもとに届きます。
この本を読んでみてください係数 85/100

◆宇佐美 まこと
1957年愛媛県松山市生まれ。
松山商科大学人文学部卒業。
作品 「愚者の毒」「虹色の童話」「入らずの森」「角の生えた帽子」「死はすぐそこの影の中」「熟れた月」「ボニン浄土」他
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