『いけない』(道尾秀介)_書評という名の読書感想文

公開日: : 最終更新日:2024/01/06 『いけない』(道尾秀介), 作家別(ま行), 書評(あ行), 道尾秀介

『いけない』道尾 秀介 文春文庫 2022年8月10日第1刷

★ラスト1ページですべてがひっくり返る。
話題の超絶ミステリがついに文庫化!

各章の最終ページに挟まれた 「写真」 には、
物語ががらりと変貌するトリックが仕掛けられていて・・・・・・・。
2度読み確実! あまりの面白さが大反響をもたらした、
道尾秀介渾身の超絶ミステリ。

第一章 弓投げの崖を見てはいけない
→自殺の名所が招く痛ましい復讐の連鎖。
第二章 その話を聞かせてはいけない
→少年が見たのは殺人現場? それとも・・・・・・・・。
第三章 絵の謎に気づいてはいけない
→新興宗教の若き女性幹部。本当に自殺か?
終 章 街の平和を信じてはいけない
→そして、すべての真実が明らかに・・・・・・・。

騙されてはいけない。けれど絶対、あなたも騙される。(文春文庫)

誰が言い出したのだろう。
海岸線に沿って白沢市と蝦蟇倉市を結ぶ、白蝦蟇シーライン。その道を南下するとき、左手に現れる弓投げの崖を、決して見てはいけない。

弓投げの崖は蝦蟇倉市の東端にある断崖で、大小二つの鋭い先端が、海に向かってザリガニのはさみのように突き出している。その昔、この地域を治めていた戦好きの殿様が、お釈迦様に諭されて人の命の尊さを知り、弓を折って海に投げ捨てたという伝説が、名前の由来らしい。ザリガニのはさみのようなあの地形は、弓が折れたかたちなのだとか。

そんなたいそうな故事があるにもかかわらず、いまでは弓投げの崖は、地方有数の自殺の名所となっていた。語呂が災いしたのだろうか。蝦蟇倉市民のみならず、近県から様々な人々が崖にやってきては、海に向かって身を投げる。崖の上には死者たちの霊が集まっており、車を運転中にその霊と目を合わせると、あの世に連れていかれるから - 決して崖を見てはいけない。(本文冒頭より)

主に事件は、白沢市と蝦蟇倉市に跨るサイクリングロードの周辺地域で発生します。弓投げの崖や蝦蟇倉東トンネルは言うに及ばず、事件の当事者たちが暮らす家や職場もまたその付近にありました。話は各々別ですが、それぞれに、どこかが繋がっています。

・まずは各章の物語をじっくりとお楽しみください。
・各章の最終ページには、ある写真が挿入されています。
・写真を見ることで、それぞれの “隠された真相” を発見していただければ幸いです。

問題は -

第一章・・・・・・・死んだのは誰か?
第二章・・・・・・・なぜ死んだのか?
第三章・・・・・・・罪は誰のものか?
終 章・・・・・・・????????

※「非常に評判がよかったわりには・・・・・」 という意見が、少なからずあるようで。やや、広告が過ぎたのでしょうか。面白くはありますが、くれぐれも、期待し過ぎてはいけません

この本を読んでみてください係数 80/100

◆道尾 秀介
1975年兵庫県芦屋市生まれ。
玉川大学農学部卒業。

作品 「手首から先」「背の眼」「向日葵の咲かない夏」「シャドウ」「月と蟹」「カラスの親指」「カエルの小指」「龍神の雨」「光媒の花」他多数

関連記事

『いつかの人質』(芦沢央)_書評という名の読書感想文

『いつかの人質』芦沢 央 角川文庫 2018年2月25日初版 宮下愛子は幼いころ、ショッピングモー

記事を読む

『太陽のパスタ、豆のスープ』(宮下奈都)_書評という名の読書感想文

『太陽のパスタ、豆のスープ』宮下 奈都 集英社文庫 2013年1月25日第一刷 結婚式直前に突然婚

記事を読む

『オブリヴィオン』(遠田潤子)_書評という名の読書感想文

『オブリヴィオン』遠田 潤子 光文社文庫 2020年3月20日初版 苦痛の果てに、

記事を読む

『おもかげ』(浅田次郎)_書評という名の読書感想文

『おもかげ』浅田 次郎 講談社文庫 2021年2月17日第4刷発行 孤独の中で育ち

記事を読む

『ウエストウイング』(津村記久子)_書評という名の読書感想文

『ウエストウイング』津村 記久子 朝日文庫 2017年8月30日第一刷 女性事務員ネゴロ、塾通いの

記事を読む

『アレグリアとは仕事はできない』(津村記久子)_書評という名の読書感想文

『アレグリアとは仕事はできない』津村 記久子 ちくま文庫 2013年6月10日第一刷 万物には魂

記事を読む

『あくてえ』(山下紘加)_書評という名の読書感想文

『あくてえ』山下 紘加 河出書房新社 2022年7月30日 初版発行 怒濤である。出口のない

記事を読む

『ifの悲劇』(浦賀和宏)_書評という名の読書感想文

『ifの悲劇』浦賀 和宏 角川文庫 2017年4月25日初版 小説家の加納は、愛する妹の自殺に疑惑

記事を読む

『信仰/Faith』(村田沙耶香)_書評という名の読書感想文

『信仰/Faith』村田 沙耶香 文藝春秋 2022年8月10日第3刷発行 なあ、俺

記事を読む

『赤と白』(櫛木理宇)_書評という名の読書感想文

『赤と白』櫛木 理宇 集英社文庫 2015年12月25日第一刷 冬はどこまでも白い雪が降り積もり、

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

『百合中毒』(井上荒野)_書評という名の読書感想文

『百合中毒』井上 荒野 集英社文庫 2024年4月25日 第1刷

『ジウⅡ 警視庁特殊急襲部隊 SAT 』(誉田哲也)_書評という名の読書感想文

『ジウⅡ 警視庁特殊急襲部隊 SAT 』誉田 哲也 中公文庫 202

『ジウⅠ 警視庁特殊犯捜査係 SIT 』(誉田哲也)_書評という名の読書感想文

『ジウⅠ 警視庁特殊犯捜査係 SIT 』誉田 哲也 中公文庫 202

『血腐れ』(矢樹純)_書評という名の読書感想文

『血腐れ』矢樹 純 新潮文庫 2024年11月1日 発行 戦慄

『チェレンコフの眠り』(一條次郎)_書評という名の読書感想文

『チェレンコフの眠り』一條 次郎 新潮文庫 2024年11月1日 発

→もっと見る

  • 3 にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
PAGE TOP ↑