『純子』(赤松利市)_書評という名の読書感想文

公開日: : 最終更新日:2024/01/09 『純子』(赤松利市), 作家別(あ行), 書評(さ行), 赤松利市

『純子』赤松 利市 双葉社 2019年7月21日第1刷

四国の辺鄙な里に生まれた純子は 「極貧の暮らしから逃れるためには、おまえを蜜の滴るいい女にして高く売るしかないんじゃ」 と祖母に言われ、官能的な手練手管を仕込まれて育つ。だが、純子が中学に上がる前にバキュームカーの導入により家業は廃れ始め、さらには里の湧き水が涸れてしまう。皆が生きていくためには水道を引かなければならない - 純子はそれを実現させるため、高松の御大尽の愛玩となることを決意するのだが・・・・・・・。(双葉社)

覚悟して読んでください。読むとあなたは、途方もなく後悔するかもしれません。読み始めた途端、読むのを止そうとするかもしれません。

しかし、その時には既に手遅れで、たとえ読むのを止めたとしても、もういけません。残像は消えることなく、長く後を引きます。

これはうんこと少女の話ですが、本当に美しい物語です - 。
下肥汲みの家に生まれた美少女・純子は、家業を手伝いながら、遊女だった祖母に 男を虜にする女になれと手練手管を教わりながら育つ。母は井戸に身を投げて死んでしまい、祖父、祖母、叔父との四人暮らし。時代は高度経済成長期へ移ろい、生活環境も変わっていく。ある日、村の水が枯れかかっていることに住人が気付く。水がなくなれば生きていけない。その危機を救うため、純子は都会へと - 。

63歳住所不定、話題作連発の奇才が描く、昭和ノスタルジック・ファンタジー! (アマゾン内容紹介より)

・・・・・・・ かどうかはわかりません。そう思うか思わないかは、あなた次第。あなたの “感性” に依ります。

※注意:飲食を伴う読書は厳禁。何より、あなたの為になりません。

この本を読んでみてください係数 85/100

◆赤松 利市
1956年香川県生まれ。

作品 「藻屑蟹」「鯖」「らんちう」「ボダ子」等

関連記事

『さいはての彼女』(原田マハ)_書評という名の読書感想文

『さいはての彼女』原田 マハ 角川文庫 2013年1月25日初版 25歳で起業した敏腕若手女性

記事を読む

『ある日 失わずにすむもの』(乙川優三郎)_書評という名の読書感想文

『ある日 失わずにすむもの』乙川 優三郎 徳間文庫 2021年12月15日初刷 こ

記事を読む

『不時着する流星たち』(小川洋子)_書評という名の読書感想文

『不時着する流星たち』小川 洋子 角川文庫 2019年6月25日初版 私はな

記事を読む

『鈴木ごっこ』(木下半太)_書評という名の読書感想文

『鈴木ごっこ』木下 半太 幻冬舎文庫 2015年6月10日初版 世田谷区のある空き家にわけあり

記事を読む

『夫婦一年生』(朝倉かすみ)_書評という名の読書感想文

『夫婦一年生』朝倉 かすみ 小学館文庫 2019年7月21日第2刷発行 新婚なった夫

記事を読む

『変な家』(雨穴)_書評という名の読書感想文

『変な家』雨穴 飛鳥新社 2021年9月10日第8刷発行 あなたは、この間取りの

記事を読む

『夏の陰』(岩井圭也)_書評という名の読書感想文

『夏の陰』岩井 圭也 角川文庫 2022年4月25日初版 出会ってはならなかった二

記事を読む

『あたしたち、海へ』(井上荒野)_書評という名の読書感想文

『あたしたち、海へ』井上 荒野 新潮文庫 2022年6月1日発行 親友同士が引き裂

記事を読む

『入らずの森』(宇佐美まこと)_書評という名の読書感想文

『入らずの森』宇佐美 まこと 祥伝社文庫 2016年12月31日第6刷 陰惨な歴史

記事を読む

『スペードの3』(朝井リョウ)_書評という名の読書感想文

『スペードの3』朝井 リョウ 講談社文庫 2017年4月14日第一刷 有名劇団のかつてのスター〈つ

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

『アトムの心臓 「ディア・ファミリー」 23年間の記録』(清武英利)_書評という名の読書感想文

『アトムの心臓 「ディア・ファミリー」 23年間の記録』清武 英利 

『メイド・イン京都』(藤岡陽子)_書評という名の読書感想文

『メイド・イン京都』藤岡 陽子 朝日文庫 2024年4月30日 第1

『あいにくあんたのためじゃない』(柚木麻子)_書評という名の読書感想文

『あいにくあんたのためじゃない』柚木 麻子 新潮社 2024年3月2

『執着者』(櫛木理宇)_書評という名の読書感想文

『執着者』櫛木 理宇 創元推理文庫 2024年1月12日 初版 

『オーブランの少女』(深緑野分)_書評という名の読書感想文

『オーブランの少女』深緑 野分 創元推理文庫 2019年6月21日

→もっと見る

  • 3 にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
PAGE TOP ↑