『純子』(赤松利市)_書評という名の読書感想文
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『純子』(赤松利市), 作家別(あ行), 書評(さ行), 赤松利市
『純子』赤松 利市 双葉社 2019年7月21日第1刷
四国の辺鄙な里に生まれた純子は 「極貧の暮らしから逃れるためには、おまえを蜜の滴るいい女にして高く売るしかないんじゃ」 と祖母に言われ、官能的な手練手管を仕込まれて育つ。だが、純子が中学に上がる前にバキュームカーの導入により家業は廃れ始め、さらには里の湧き水が涸れてしまう。皆が生きていくためには水道を引かなければならない - 純子はそれを実現させるため、高松の御大尽の愛玩となることを決意するのだが・・・・・・・。(双葉社)
覚悟して読んでください。読むとあなたは、途方もなく後悔するかもしれません。読み始めた途端、読むのを止そうとするかもしれません。
しかし、その時には既に手遅れで、たとえ読むのを止めたとしても、もういけません。残像は消えることなく、長く後を引きます。
これはうんこと少女の話ですが、本当に美しい物語です - 。
下肥汲みの家に生まれた美少女・純子は、家業を手伝いながら、遊女だった祖母に 「男を虜にする女になれ」 と手練手管を教わりながら育つ。母は井戸に身を投げて死んでしまい、祖父、祖母、叔父との四人暮らし。時代は高度経済成長期へ移ろい、生活環境も変わっていく。ある日、村の水が枯れかかっていることに住人が気付く。水がなくなれば生きていけない。その危機を救うため、純子は都会へと - 。
63歳住所不定、話題作連発の奇才が描く、昭和ノスタルジック・ファンタジー! (アマゾン内容紹介より)
・・・・・・・ かどうかはわかりません。そう思うか思わないかは、あなた次第。あなたの “感性” に依ります。
※注意:飲食を伴う読書は厳禁。何より、あなたの為になりません。
この本を読んでみてください係数 85/100
◆赤松 利市
1956年香川県生まれ。
作品 「藻屑蟹」「鯖」「らんちう」「ボダ子」等
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