『夜のピクニック』(恩田陸)_書評という名の読書感想文

公開日: : 最終更新日:2024/01/10 『夜のピクニック』(恩田陸), 作家別(あ行), 恩田陸, 書評(や行)

『夜のピクニック』恩田 陸 新潮文庫 2006年9月5日発行

高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」。それは全校生徒が夜を徹して80キロ歩き通すという、北高の伝統行事だった。甲田貴子は密かな誓いを胸に抱いて、歩行祭にのぞんだ。三年間、誰にも言えなかった秘密を清算するために - 。学校生活の思い出や卒業後の夢など語らいつつ、親友たちと歩きながらも、貴子だけは、小さな賭けに胸を焦がしていた。本屋大賞を受賞した永遠の青春小説。(新潮文庫)

第26回(2005年) 吉川英治文学新人賞、第2回(2005年) 本屋大賞 受賞作品

全生徒が24時間かけて80kmを歩く高校の伝統行事 「歩行祭」。 3年生の甲田貴子には最後の歩行祭、年に1度の特別なこの日に、自分の中で賭けをした。 それは、クラスメイトの西脇融に声を掛けるということ。貴子は、恋心とは違うある理由から西脇を意識していたが、一度も話をしたことがなかった。しかし、ふたりの不自然な様子をクラスメイトは勘違いして・・・・・・・と、ストーリーは進んでゆきます。

登場人物を紹介しましょう。(以下はwikipediaを参照/一部略)

西脇融(にしわき・とおる) テニス部。同級生の甲田貴子とは異母兄妹。
甲田貴子(こうだ・たかこ) 同級生の西脇融とは異母兄妹。母はシングルマザー。

戸田忍(とだ・しのぶ) 融の親友。水泳部。以前に内堀亮子と付き合っていた。はっきりと言及はされていないものの、貴子のことが好き。
遊佐美和子(ゆさ・みわこ) 貴子の親友で和菓子屋の娘。北高男子の憧れの的。
榊杏奈(さかき・あんな) 貴子と美和子の親友で帰国子女。2人には好きな人を打ち明けないまま、高校3年生になる春に再びアメリカへ行ってしまう。

後藤梨香(ごとう・りか) 融と貴子のクラスメイト。
梶谷千秋(かじたに・ちあき) 融と貴子のクラスメイト。密かに戸田忍のことが好き。
榊順弥(さかき・じゅんや) 杏奈の弟。アメリカに住んでいるが、わざわざ日本までやって来て歩行祭に飛び入りで参加する。実は去年も来ていた。
高見光一郎(たかみ・こういちろう) 融と貴子のクラスメイトでロックをこよなく愛する。昼間は死んだように静かなので「ゾンビ」とあだ名される。
内堀亮子(うちぼり・りょうこ) 美和子のクラスメイトで、戸田忍の元カノ。校内で付き合った男子は数知れず。融のことを狙っているらしい。超打算的女と忍に言われている。

※2006年9月にはこの小説を原作とする映画が公開されています。ちなみにその時のキャッチコピーが 「みんなで夜歩く。ただそれだけなのに、どうしてこんなに特別なんだろう」。
本文では、これを杏奈が言います。

みんなで、夜歩く。たったそれだけのことなのにね。  どうして、それだけのことが、こんなに特別なんだろうね。- と。

※この感覚こそがまさに「青春」、なのでしょう。これくらいに真っ直ぐな話になると、(今の私なんかには) 少々 「面映ゆい」 感じがします。思い出すのも恥ずかしい。しかし、間違いなくそうであったような - そんな場面や会話が続きます。

この本を読んでみてください係数 80/100

◆恩田 陸
1964年青森県青森市生まれ。宮城県仙台市出身。
早稲田大学教育学部卒業。

作品 「六番目の小夜子」「ユージニア」「中庭の出来事」「木洩れ日に泳ぐ魚」「蜜蜂と遠雷」「EPITAPH東京」他多数

関連記事

『クジラの彼』(有川浩)_書評という名の読書感想文

『クジラの彼』有川 浩 角川文庫 2010年6月25日初版 有川浩の作品群の内訳からいうと「

記事を読む

『薄情』(絲山秋子)_書評という名の読書感想文

『薄情』絲山 秋子 河出文庫 2018年7月20日初版 地方都市に暮らす宇田川静生は、他者への深入

記事を読む

『凶獣』(石原慎太郎)_書評という名の読書感想文

『凶獣』石原 慎太郎 幻冬舎 2017年9月20日第一刷 神はなぜこのような人間を創ったのか?

記事を読む

『死にたくなったら電話して』(李龍徳/イ・ヨンドク)_書評という名の読書感想文

『死にたくなったら電話して』李龍徳(イ・ヨンドク) 河出書房新社 2014年11月30日初版

記事を読む

『合意情死 がふいしんぢゆう』(岩井志麻子)_書評という名の読書感想文

『合意情死 がふいしんぢゆう』岩井 志麻子 角川書店 2002年4月30日初版 「熊」とあだ名

記事を読む

『残像』(伊岡瞬)_書評という名の読書感想文

『残像』伊岡 瞬 角川文庫 2023年9月25日 初版発行 訪れたアパートの住人は、全員 “

記事を読む

『深い河/ディープ・リバー 新装版』(遠藤周作)_書評という名の読書感想文

『深い河/ディープ・リバー 新装版』遠藤 周作 講談社文庫 2021年5月14日第1刷

記事を読む

『リバー』(奥田英朗)_書評という名の読書感想文

『リバー』奥田 英朗 集英社 2022年9月30日第1刷発行 同一犯か? 模倣犯か

記事を読む

『変な家』(雨穴)_書評という名の読書感想文

『変な家』雨穴 飛鳥新社 2021年9月10日第8刷発行 あなたは、この間取りの

記事を読む

『昨夜のカレー、明日のパン』(木皿泉)_書評という名の読書感想文

『昨夜のカレー、明日のパン』木皿 泉 河出文庫 2016年2月20日25刷 7年前

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

『僕の神様』(芦沢央)_書評という名の読書感想文

『僕の神様』芦沢 央 角川文庫 2024年2月25日 初版発行

『存在のすべてを』(塩田武士)_書評という名の読書感想文

『存在のすべてを』塩田 武士 朝日新聞出版 2024年2月15日第5

『我が産声を聞きに』(白石一文)_書評という名の読書感想文

『我が産声を聞きに』白石 一文 講談社文庫 2024年2月15日 第

『朱色の化身』(塩田武士)_書評という名の読書感想文

『朱色の化身』塩田 武士 講談社文庫 2024年2月15日第1刷発行

『あなたが殺したのは誰』(まさきとしか)_書評という名の読書感想文

『あなたが殺したのは誰』まさき としか 小学館文庫 2024年2月1

→もっと見る

  • 3 にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
PAGE TOP ↑