『死神の精度』(伊坂幸太郎)_書評という名の読書感想文
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『死神の精度』(伊坂幸太郎), 伊坂幸太郎, 作家別(あ行), 書評(さ行)
『死神の精度』伊坂 幸太郎 文春文庫 2025年2月10日 新装版第1刷
死神は音楽を聴く。そして、人の 「死」 を判定する。累計150万部大人気シリーズ 新装版

好きなものは音楽、嫌いなものは渋滞。彼が仕事をすると必ず雨が降る - 。クールで真面目な死神・千葉は、人間の世界に溶け込み、七日間の調査で対象者の 「死」 に可否の判断を下す。自分の運命を知らない人々と旅行をしたり、窮地に陥ったり。死神と人の奇妙なかけあいが癖になる傑作短編集。著者の特別インタビューも収録! (文春文庫)
2005年に単行本が刊行され、2008年に初文庫化された著者の初期代表作。その新装版を読みました。
派手さこそありませんが、長く読者に愛されているのがよくわかる一冊とでも言えばよいのでしょうか。何より 「千葉」 と称する 「死神」 のキャラクターが秀逸で、対象者となった人間との間に適度な距離を置き、あくまでもクールに、千葉は対象者の 「死」 の可否を裁定します。同情や温情などとは一切無縁で、基本 「可」 を前提に、彼は粛々と一週間を過します。
その 「死神」 である 「千葉」 を、さらに詳しく。そしてタイトルにもなっている冒頭の作品 「死神の精度」 に登場する 「対象者」 と、対象者を悩ます 「クレーマー」 を紹介しましょう。(wikipedia より抜粋)
千葉
本作の主人公である死神。
死神の 「調査部」 の一員として人間の世界に派遣され、調査対象である人間を一週間にわたり観察し、死を見定める。対象者を 「可」 (映画では 「実行」) とした場合は八日目に死亡し、「見送り」 とした場合は死なずに天寿を全うする事となる。「可」 にするか 「見送り」 にするかどうかについて明確な基準はなく、裁定は死神の裁量に全て任される。また、調査期間の間に対象が死亡する事はない。彼が仕事のために人間界へ赴くと必ず雨が降っており、青空を見た事がない。死神が素手で人間に触れると、人間は気絶し寿命も一年間縮まってしまう。
容姿が仕事のたびに変わるのに対して名前は毎回変化せず、死神個々の名前は必ず、「千葉」 や 「秋田」 など市町村と同じ名前になっている。
ジャンルを問わずミュージックをこよなく愛しており、仕事の合間に時間があればCDショップに行き、CDを貪り聴く。(略) これは死神に共通して言える事で、CDショップや音楽が流れる喫茶店に行けば必ずといっていいほど他の死神と出会う事が出来る。音楽を偏狂なまでに愛しているのに対し、渋滞は人間が作ったものの中で一番醜いものだと考えている。
死神の精度
藤木一恵
大手電機メーカーの本社に勤めている女性。千葉の調査対象。
苦情処理の部署に属しており、クレーマーの応対をするばかりの生活を送っている。
自分の事をわざわざ指名して苦情を言ってくるクレーマーに悩まされており、今の生活に生きる理由が見つからず、死んでしまいたいと感じている。クレーマー
一恵の務める電機メーカーの苦情処理係にクレームをつける。一恵に応対されて以降、製品に難癖を付けては一恵を指名するようになる。
そして、以後、
死神と藤田
吹雪に死神
恋愛で死神
旅路を死神
死神対老女
と続きます。中に微妙に繋がっているものがありますので、できれば順番に読んでください。千葉の細かなキャラクターについては、基本気にすることはありません。それがもとでどうなるわけでもありませんし、何かに大きな影響を及ぼすわけでもありません。(対象者の) 死の可否とは、まるで無関係です。
[参考]
2004年、第57回日本推理作家協会賞短編部門受賞
2006年、第134回直木三十五賞候補、2006年本屋大賞第3位
この本を読んでみてください係数 85/100

◆伊坂 幸太郎
1971年千葉県生まれ。
東北大学法学部卒業。
作品 「オーデュポンの祈り」「アヒルと鴨のコインロッカー」「ゴールデンスランバー」「グラスホッパー」「重力ピエロ」「AX」「逆ソクラテス」他多数
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