『本と鍵の季節』(米澤穂信)_書評という名の読書感想文
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最終更新日:2024/01/10
『本と鍵の季節』(米澤穂信), 作家別(や行), 書評(は行), 米澤穂信
『本と鍵の季節』米澤 穂信 集英社 2018年12月20日第一刷

米澤穂信の新刊 『本と鍵の季節』 を読みました。相変わらずの安定感、その滑らかさには舌を巻きます。長編 『王とサーカス』 ほどではないにせよ、この人が書く短編は短編で、ただ短い話が6つあるだけではありません。長編を読むように、順を追って読んでください。
[収録作品]
1.913
2.ロックオンロッカー
3.金曜に彼は何をしたのか
4.ない本
5.昔話を聞かせておくれよ
6.友よ知るなかれ
(私の拙い感想に代えて) 今回は、集英社のWEBサイトにある瀧井朝世氏の書評を全文に渡り紹介しようと思います。(こんなの先に読んだ私が悪かった。ここには過不足なく全容が書いてあり、他に書くべきことが見当たりません )
[図書室にいる2人の高校生探偵] 瀧井朝世(ライター)
気軽に読める短篇が並んでいるようでいて、通読するからこそ味わえる感慨がある。米澤穂信の新作 『本と鍵の季節』 はそんな類いのミステリ作品集である。
主人公は男子高校生。高校二年の堀川次郎は図書委員。いたって普通の男子。相棒は同じく図書委員の松倉詩門で、背が高く顔もよく、やや皮肉屋。いつも図書室で暇を持て余す彼らが、いくつもの謎に遭遇していく。
第1話 「913」 では先輩の女子から 「開かずの金庫」 の番号を当ててほしいと頼まれる。というのも2人は以前、江戸川乱歩の短篇に出てくる暗号を解いてみせたことがあったからだ。第2話の 「ロックオンロッカー」 では、美容院に行った彼らが店に漂う不穏な空気を感じ取り、その事情を推理していく。
第3話 「金曜に彼は何をしたのか」 で相談を持ち込むのは後輩男子。テスト問題を盗んだ疑いがかけられた兄のアリバイを見つけてほしいという。第4話の 「ない本」 で図書室に来たのは見知らぬ上級生男子だ。自殺した級友が最後に読んでいた本を探しているという。
ここまではどれも、2人が本や鍵にまつわる謎に対し異なるアプローチで推理力を発揮、時に食い違い、時に補完し合って事件を解明していく内容だ。と説明すると、米澤作品読者なら、「なんだかおかしい」 と思うかもしれない。そう、主人公2人になんの屈託もないなんて・・・・・・・! 米澤青春ミステリといえば主人公の内面の屈折とほろ苦さも魅力ではないのか、と (確かに第4話の謎はほろ苦いが)。
ご安心を(?)。第5話 「昔話を聞かせておくれよ」 と 第6話 「友よ知るなかれ」 は、謎に向き合うなかで、彼らの意外な苦悩が見えてくる。なかなか一筋縄ではいかない展開ではあるが、そこから2人の友情も浮かび上がり、読後感には爽やかさも残される。
印象に残るのは、誰かが嘘をついているパターンが多い点、また、真相が明らかになっても彼らが人を裁こうとしない点。それを読者に印象づけてから最後の2話を持ってきた巧みさを、読者は噛みしめることになるはずだ。
※悔しいけれど仕方ない。ミステリを紹介をするときのお手本のような文章です。(降参! )
この本を読んでみてください係数 85/100

◆米澤 穂信
1978年岐阜県生まれ。
金沢大学文学部卒業。
作品「折れた竜骨」「心あたりのある者は」「氷菓」「インシテミル」「追想五断章」「ふたりの距離の概算」「満願」「王とサーカス」他多数
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