『箱庭図書館』(乙一)_書評という名の読書感想文

『箱庭図書館』乙一 集英社文庫 2013年11月25日第一刷


箱庭図書館 (集英社文庫)

僕が小説を書くようになったのには、心に秘めた理由があった(「小説家の作り方」)。ふたりぼっちの文芸部で、先輩と過ごしたイタい毎日(「青春絶縁体」)。雪面の靴跡にみちびかれた、不思議なめぐり会い(「ホワイト・ステップ」)。【物語を紡ぐ町】で、ときに切なく、ときに温かく、奇跡のように重なり合う6つのストーリー。ミステリー、ホラー、恋愛、青春・・・・乙一の魅力すべてが詰まった傑作短編集! (集英社文庫)

これはなかなかに無い(発想からなる)本で、知ってる人はともかくも、もしも知らないなら知らないうちに読んでみて、読み終わった後でそれが何なのかを知った方がいいかも知れません。

そうでないと(色々と)迷うことになるような気がします。もしかすると読もうとする当初の意気込みが削がれしまうことにもなりかねません。熱烈な乙一ファンなら尚のこと、賛否が分かれて当然の本であろうと思われます。

幸いにも(!?)何も知らないで読んだ私の感想はというと、6つの話それぞれに、いつものように「乙一らしさ」を存分に味わえたとは思います。中でも「青春絶縁体」は面白かったし、やっぱり上手い。高校生の頃のうぶさやイタい様子がよく伝わって来ます。

ところが全体を通してみた場合、何とはなく「統一感」に欠けるような、どことは言えないのですが、どうにもギクシャクしているような感じがあってすっきりしません。

「乙一の魅力すべてが詰まった傑作短編集」には違いないのですが、言えば詰まり過ぎているような、全部の話は繋がっているにはいるのですがやや強引にも思え、なるほどそういうことかとストンと腑に落ちない気持ちが残ります。

いずれにせよ、実際に読んでみてはじめて分かる感覚だと思います。読んで損することはありません。「それが何なのか」を知りたい人は、ぜひ手に取ってみてください。

 

この本を読んでみてください係数 80/100


箱庭図書館 (集英社文庫)

 

◆乙一
1978年福岡県生まれ。本名は安達寛高。
豊橋技術科学大学工学部卒業。

作品 「失踪 HOLIDAY」「銃とチョコレート」「夏と花火と私の死体」「GOTH リストカット事件」「暗いところで待ち合わせ」「ZOO」他多数

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