『私が失敗した理由は』(真梨幸子)_書評という名の読書感想文
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最終更新日:2024/01/09
『私が失敗した理由は』(真梨幸子), 作家別(ま行), 書評(わ行), 真梨幸子
『私が失敗した理由は』真梨 幸子 講談社文庫 2019年9月13日第1刷
・・・・・・・そうか、元凶は、これだったのね。
イヤミス女王が放つ傑作。この本は、ヤバい。 読後の幸福感は一切、保証されません。(講談社文庫)
順風満帆な人生を送っている - 落合美緒はそう思っていた。都心のタワーマンションに住み、二歳下の旦那とは社内結婚、優雅な二人の生活。そんな時に、美緒は妊娠する。ところが不幸なことに流産してしまい、それがきっかけで体調を崩し、会社を辞めざるを得なくなる。今までは夫婦の収入で住めていたタワーマンションにももう住めない。東京近郊のT市に移り住んだ美緒夫婦。鬱々とした気分はいっこうに回復することもなかった。
そんなある日、美緒の気持ちがパート先の同僚ムラカミの話で一転する。人生、順風満帆だったころに感じていた 「ときめき」 が復活したのだ。
食欲も戻り、夕食のあと、どうしてもフレンチトーストを食べたくなった美緒は、食パンを買いにコンビニへ。そこで同じく同僚のイチハラに出会う。イチハラはとんでもなくおかしな格好をしていたが、美緒は大して気にすることもなく、世間話をしてその日は帰ってしまう。
ところが後日、イチハラが大量殺人事件を起こした犯人だと取り沙汰され、事件を起こしたとされるその日時が、美緒が彼女と会ったその前の時間だったことが判明するのだ。
成功をもうすぐ手中に収めそうだったイチハラは、なぜ、わざわざ人生を失敗するような大事件を起こしてしまったのか。考えるうちに燃え上がるような 「ときめき」 を感じた美緒は、急に 『私が失敗した理由は』 という本を出す企画を思いつき、かつての恋人で編集者の土谷健也に電話をする。事件の真相は、そして美緒の企画はどうなるのか? (アマゾン内容紹介より)
序章の終わりに、こんなことが書いてあります。内容紹介と併せ、如何にもな作品に思えますが、侮ってはいけません。
本書では、「失敗」 の正体を見極める方法を、事例を挙げて説明します。どれも典型的な小さな 「失敗」 で、その失敗を避けられなかったせいで、目の前にあった 「成功」 というハッピーエンドから遠く離れ、最悪のケースに陥った人たちのエピソードです。
死ぬわ、死ぬわ。いくら何でもそれはないだろうというくらいに人が死にます。怖いというよりむしろ、 “ノリ” で殺しているような。そんな感じを受けました。これでもかという筋書きは、「えっ!? ・・・・・」 という結末で幕を閉じます。
この本を読んでみてください係数 80/100
◆真梨 幸子
1964年宮崎県生まれ。
多摩芸術学園映画科(現、多摩芸術大学映像演劇学科)卒業。
作品 「孤虫症」「えんじ色心中」「殺人鬼フジコの衝動」「深く深く、砂に埋めて」「女ともだち」「あの女」「みんな邪魔」「人生相談」「お引っ越し」他多数
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