『ラブレス』(桜木紫乃)_書評という名の感想文

公開日: : 最終更新日:2015/03/11 『ラブレス』(桜木紫乃), 作家別(さ行), 書評(ら行), 桜木紫乃

『ラブレス』 桜木 紫乃  新潮文庫 2013年12月1日発行 @630

 

桜木紫乃が好きである。

 

この人は『ホテルローヤル』という小説で最近直木賞を受賞した、北海道の釧路市生まれの女性です。

賞の発表があったとき、『ホテルローヤル』という受賞作のタイトルに私の何かが化学反応し、これは一刻も早く読まねばとすぐに本屋へ行きました。

自分でもよく説明できないのですが、時々こういうことが起こります。

そして、そうして読んだものの多くは最初に感じた漠然とした期待を裏切らない読後感を私に与えてくれるのです。

これはなかなかに爽快で”してやったり感”満載のまことに幸せな瞬間です。

 

はじめて読んだ作家の小説が気に入ると次に私がすることは、というか大凡の人がそうでしょうが、その作家の次なる作品を読みたいと思うことです。

デビュー作でない限りできれば受賞作以前のもの、最初に世に出た作品とか評価を受けた作品を探します。

その作家の原点となる作品を読んでからでないと安心して他のが読めないのです。

これは、好きな人ができて付き合いはじめるとその人のもっと昔のこと、知り合う以前のことを俄然知りたくなる気持ちと通じるものがあります。

 

肝心の『ラブレス』の紹介が後回しになりました。

この作品は『ホテルローヤル』と相前後して発表されている長編小説です。

この作品も名のある文学賞を受賞している作品で、二冊目にこれを読んで私は桜木紫乃という作家の書く小説の真のファンになりました。

この人の書くものにハズレはないことを確信したからです。

 

舞台は北海道の道東。

開拓村での極貧生活から始まる、百合江、妹の里実、そして姉妹の母親や娘たちを含めた凄絶な人生が描写されています。

物語は昭和25年からスタートして以後60年におよぶ時間の個人史が綴られています。

特に百合江の人生は波乱万丈、この登場人物に実際のモデルが存在するのかどうかは分かりませんが、生まれ落ちた場所とその境遇、風土や習慣、そして時代の変遷とともに何処へ自分が辿りつくのかももはや朦朧となりつつ時々の偶然にただ寄り添うように生きて歳を重ねていく様が飄々と描かれているのです。

◆この本を読んでみてください係数  85/100


ラブレス (新潮文庫)

◆桜木 紫乃

1965年北海道釧路市生まれ。

高校卒業後裁判所のタイピストとして勤務。

24歳で結婚、専業主婦となり2人目の子供を出産直後に小説を書き始める。

2007年『氷平線』でデビュー。

ゴールデンボンバーの熱烈なファンであり、ストリップのファンでもある。

作品 「氷平線」「凍原」「ラブレス」「起終点駅」「ホテルローヤル」「無垢の領域」「蛇行する月」「星々たち」など

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