『鯖』(赤松利市)_書評という名の読書感想文
『鯖』赤松 利市 徳間書店 2018年7月31日初刷
読めば、地獄。狂気。そして、破滅。気持ち良い事が一切ありません。
でも、読みます。読まずにはいられなくなります。自分のかいた汗の臭いを嗅ぐように、ひり出した糞の臭いを慈しむように、人の醜さにどっぷりと浸りたいと思うときがあります。
※以下に紹介するほとんどが 〈帯〉 に書いてあります。
第1回大藪春彦新人賞受賞者、捨身の初長編
62歳、住所不定、無職。
平成最後の大型新人。鮮烈なるデビュー!
・圧倒的なリアリティー。新人にしてすでに熟練の味わいだ。たちまち物語にのめり込んだ。(今野敏)
・人の愚かさをじっくりとあぶりだす手腕に脱帽だ。遅咲きの新人、おそるべし! (馳星周)
・五臓六腑を抉る、超弩級のハードノワール誕生! 平成最後に現れた、荒ぶる才能に瞠目せよ。(宣伝担当)
・なんじゃ、こりゃあ! ハードパンチャーや! 超ド級の純文学バイオレンスを喰らえ! (営業担当)
・吐き気を催すほどのリアリティーと人間の業を描いた作品力は、近年読んだ中でピカイチ。この作品を多くの人と語り合いたい。(メディア関係者)
・平成最後の大型新人がたどり着いた境地。最後まで読んだ人に訪れる、黒い快感をお楽しみください。(担当編集)
- さて、内容はといいますと、鯖にあって、鯖に非ず。鯖に魅入られ、鯖をもって生きようとする人間たちに訪れる - それはもう「狂気」としか言いようのない世界の話。そこでの暮らしは色を失い、狂気が、もはや狂気ではないようにして語られてゆきます。
絶海の孤島に棲みついた荒くれ漁師たち。
逃れられない貧困と暴力が、日常を狂気に染める。紀州雑賀崎を発祥の地とする一本釣り漁師船団。かつては「海の雑賀衆」との勇名を轟かせた彼らも、時代の波に呑まれ、終の棲家と定めたのは日本海に浮かぶ孤島だった。日銭を稼ぎ、場末の居酒屋で管を巻く、そんな彼らの生を照らす一筋の光明。しかしそれは破滅への序曲にすぎなかった - 。(徳間書店)
ネットで見つけてすぐに買いました。人は元来愚かだということ。どうしようもなく愚かだというのが胸に沁みてわかります。
この本を読んでみてください係数 85/100
◆赤松 利市
1956年香川県生まれ。
作品 第一回大藪春彦新人賞を「藻屑蟹」にて受賞。本作が初長編となる。
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