『ホーンテッド・キャンパス』(櫛木理宇)_書評という名の読書感想文

『ホーンテッド・キャンパス』櫛木 理宇 角川ホラー文庫 2012年12月25日初版

八神森司は、幽霊なんて見たくないのに、「視えてしまう」体質の大学生。片想いの美少女こよみのために、いやいやながらオカルト研究会に入ることに。ある日、オカ研に悩める男が現れた。その悩みとは、「部屋の壁に浮き出た女の顔の染みが、引っ越しても追ってくる」というもので・・・・・・・。次々もたらされる怪奇現象のお悩みに、個性的なオカ研メンバーが大活躍。第19回日本ホラー小説大賞・読者賞受賞の青春オカルトミステリ! (角川ホラー文庫)

八神森司には霊が視えます。雪越大学入学後、彼は高校時代の後輩で片想いの相手である灘こよみと親しくなるために、彼女のいるオカルト研究会に入ります。持ち込まれてくるのは、様々な怪異現象の解決の依頼。それらの事件をオカ研の先輩達と解決する中、こよみとの仲も徐々に進展していくという、その後シリーズ化されて人気の第一作。著者のデビュー作であります。

収録作品は5つ。
第一話 壁にいる顔
第二話 ホワイトノイズ
第三話 南向き3LDK幽霊付き
第四話 雑踏の背中
第五話 秋の夜長とウイジャ盤

一話読み切りの連作物で実に読み易い。人気がある(読まれている)のもよくわかる。但し、(いい歳をしたオジさんには)やや軽すぎて物足りない感じがします。これよりもはるかに毒のある、

『赤と白』
『侵蝕 壊される家族の記録』
『死刑にいたる病』

などをおすすめします。試しに読んでみてください。

この本を読んでみてください係数 80/100

◆櫛木 理宇
1972年新潟県生まれ。
大学卒業後、アパレルメーカー、建設会社などの勤務を経て、執筆活動を開始する。

作品 「赤と白」「侵蝕 壊される家族の記録」「死刑にいたる病」「僕とモナミと、春に会う」「209号室には知らない子供がいる」他多数

関連記事

『203号室』(加門七海)_書評という名の読書感想文

『203号室』加門 七海 光文社文庫 2004年9月20日初版 「ここには、何かがいる・・・・・・

記事を読む

『花の鎖』(湊かなえ)_書評という名の読書感想文

『花の鎖』湊 かなえ 文春文庫 2018年8月1日19刷 両親を亡くし仕事も失った矢先に祖母がガン

記事を読む

『ほかに誰がいる』(朝倉かすみ)_書評という名の読書感想文

『ほかに誰がいる』朝倉 かすみ 幻冬舎文庫 2011年7月25日5版 あのひとのこと

記事を読む

『アニーの冷たい朝』(黒川博行)_黒川最初期の作品。猟奇を味わう。

『アニーの冷たい朝』黒川 博行 角川文庫 2020年4月25日初版 大阪府豊中市で

記事を読む

『ひとでちゃんに殺される』(片岡翔)_書評という名の読書感想文 

『ひとでちゃんに殺される』片岡 翔 新潮文庫 2021年2月1日発行 表紙の絵とタイ

記事を読む

『雨のなまえ』(窪美澄)_書評という名の読書感想文

『雨のなまえ』窪 美澄 光文社文庫 2022年8月20日2刷発行 妻の妊娠中、逃げ

記事を読む

『「いじめ」をめぐる物語』(角田光代ほか)_書評という名の読書感想文

『「いじめ」をめぐる物語』角田 光代ほか 朝日文庫 2018年8月30日第一刷 いじめを受けた側、

記事を読む

『名短篇、ここにあり』(北村薫/宮部みゆき編)_書評という名の読書感想文

『名短篇、ここにあり』北村薫/宮部みゆき編 ちくま文庫 2008年1月10日第一刷 「少女架刑」

記事を読む

『羊は安らかに草を食み』(宇佐美まこと)_書評という名の読書感想文

『羊は安らかに草を食み』宇佐美 まこと 祥伝社文庫 2024年3月20日 初版第1刷発行 認

記事を読む

『八号古墳に消えて』(黒川博行)_書評という名の読書感想文

『八号古墳に消えて』黒川博行 創元推理文庫 2004年1月30日初版 降りしきる雨の中、深さ4

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

『オーブランの少女』(深緑野分)_書評という名の読書感想文

『オーブランの少女』深緑 野分 創元推理文庫 2019年6月21日

『揺籠のアディポクル』(市川憂人)_書評という名の読書感想文

『揺籠のアディポクル』市川 憂人 講談社文庫 2024年3月15日

『海神 (わだつみ)』(染井為人)_書評という名の読書感想文

『海神 (わだつみ)』染井 為人 光文社文庫 2024年2月20日

『百年と一日』(柴崎友香)_書評という名の読書感想文

『百年と一日』柴崎 友香 ちくま文庫 2024年3月10日 第1刷発

『燕は戻ってこない』(桐野夏生)_書評という名の読書感想文

『燕は戻ってこない』桐野 夏生 集英社文庫 2024年3月25日 第

→もっと見る

  • 3 にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
PAGE TOP ↑