『煙霞』(黒川博行)_書評という名の読書感想文

『煙霞』黒川 博行 文芸春秋 2009年1月30日第一刷


煙霞 (文春文庫)

 

WOWOWでドラマになっているらしい。

北新地のホステスと欧州視察旅行に出かける理事長を誘拐した美術講師の熊谷と音楽教諭の菜穂子。私学助成金の不正受給をネタに正教員の資格を得ようとするが、二人を操る黒幕の狙いは理事長の隠し財産だった。教育現場の闇は100キロの金塊に姿を変え、悪党たちを翻弄する。元高校教師の著者が描く痛快ミステリー。(「BOOK」データベースより)

書店へ行ったら、えらいド派手に文庫が積まれています。森山未來の、不敵な面構えが嫌でも目に付きます。森山未來はすごく好きな役者さんですが、それにしても見事なワル顔で、少し上目で睨めつけるような視線が何とも素晴らしい。

あの表情だけで、どんなドラマか観たくなります。相手役の高畑充希チャンも可愛いし、他にも関西出身の個性的な俳優さんがたくさん出演しているようです。木村祐一の悪党ぶりなんかもぜひ観てみたい。しれーっとした顔で、きっとツッコミまくるんやろなー。
・・・・・・・・・
熊谷が勤めているのは、学校法人晴峰学園・晴峰女子高等学校。この学園の経営は理事長である酒井のワンマンで、教師たちの多くが何がしかの不満を抱えています。

常勤とは言え未だに講師の身分で、約束だったはずの正教員になれずにいる熊谷も例外ではありません。ことによると次の人事では、条件も環境も悪い他校へ異動させられるかも知れないという状況に鬱々としています。

そんなところへ、同じく身分保障を求める体育講師の小山田がある計画を持ってきます。計画は杜撰でしかもかなり乱暴なものですが、最終的に熊谷は音楽教諭の正木菜穂子と一緒に、この計画に乗ることを決心します。

ところが、理事長の酒井を追い詰めて交渉するまではそれなりに予定通りだったのですが、そのあとがいけません。事態は思わぬ方向へ転がっていきます。

(ドラマでもきっとそうでしょうが)小説の方は、ちょっと頼りなさげの熊谷と気の強い菜穂子の掛け合いがホントに面白い。悪党たちとの騙し合いも、最後まで目が離せません。

理事長と愛人が失踪するあたりまでは、ちょっと我慢して読んでください。そこを過ぎると、急に話の展開が加速します。あとは最後まで怒涛の一気読みです。

 

この本を読んでみてください係数 80/100


煙霞 (文春文庫)

◆黒川 博行
1949年愛媛県今治市生まれ。6歳の頃に大阪に移り住み、現在大阪府羽曳野市在住。
京都市立芸術大学美術学部彫刻科卒業。妻は日本画家の黒川雅子。
スーパーの社員、高校の美術教師を経て、専業作家。無類のギャンブル好き。

作品 「二度のお別れ」「左手首」「雨に殺せば」「ドアの向こうに」「絵が殺した」「疫病神」「国境」「悪果」「文福茶釜」「暗礁」「螻蛄」「破門」「後妻業」「勁草」他多数

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