『隣はシリアルキラー』(中山七里)_書評という名の読書感想文
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最終更新日:2024/01/06
『隣はシリアルキラー』(中山七里), 中山七里, 作家別(な行), 書評(た行)
『隣はシリアルキラー』中山 七里 集英社文庫 2023年4月25日第1刷

「ぎりっ、ぎりっ」 「ざああああっ」 毎晩、隣室から聞こえてくる不気味な音と連続バラバラ殺人事件。よりにもよって - 五感から震え上がる! ホラーミステリー
ぎりっ、ぎりっ。ぐし、ぐし。ざああああっ - 。深夜2:20、神足友哉は、今日もアパートの隣室から聞こえてくる不気味な物音で起こされた。ふと、隣人の徐浩然が死体を解体する姿を妄想するが、近所で遺体の一部が発見されたことで現実味を帯びる。気になった彼は、真夜中に部屋から出た徐を尾行すると、想像を絶する恐ろしい展開に。五感から震え上がるような体験を提供するホラーミステリー。(集英社文庫)
世間を騒がす大事件となった事の発端は、壁の薄い独身寮の隣同士で暮らす二人の間に起きた、あるトラブルでした。
物語は、真夏の深夜から幕が上がる。
東京都大田区にあるメッキ加工を主軸とする工場で働く神足友哉 (こうたり・ともや) は、隣室から響くシャワーの音で目が覚める。独身寮はトイレや入浴時の生活音が盛大に洩れる安普請で、隣の住人は二日前から夜中になるとシャワーを使うようになり、こんな時間にもかかわらず音漏れに配慮しない様子を腹立たしく感じていた。隣人の名前は徐浩然 (スーハオラン)。顔を合わせたことはないが、工場が年に数人採用している外国人技能実習生のひとりと思われた。
ところが今夜はそこに、別の音が加わる。なにかを切り落として洗い流す、まるで料理店の厨房で食材を捌いているような、ぐし、ぐし、ぎりっ、ぎりっ、どんっ、という乱暴で粗雑な音。まさか風呂場で料理の仕込みなどするはずもなく、つい神足は恐ろしいことを想像してしまう。徐が浴室で返り血を浴びながら、悦びの表情を浮かべて死体の解体に勤しんでいる姿を・・・・・・・。
なんともおぞましい想像力を掻き立てられるオープニングで、読む者をたちまち物語に引き込むという点ではこれ以上ない出だしである。
*
安眠を妨げられ、危険な薬剤を扱うメッキ加工の仕事にも支障を来すほど寝不足と疲労が蓄積した神足は、同じ作業区で働く一年先輩の矢口正樹、工場の最終検査員である別宮紗穂里、親しいふたりにこれまでの経緯を話すが、なかなか自分の想像を信じてもらえない。五日前から工場の近所では若い女性が行方不明になっており、遡ること三か月前には大田区蒲田の住宅街で女性の死体の一部が発見されている。ますます徐が風呂場で死体を解体しているとしか思えなくなった神足は、大井埠頭の埋立地で女性のものと思われる切断された両足が新たに見つかったこと、さらにある夜、徐の後をつけて衝撃的な場面を目撃してしまったことから、やはり奴は危険なシリアルキラーであると確信する。(解説より)
続きは書かずにおきましょう。言わずもがなですが、中山七里故、物語はこの先ただでは終わりません。紆余曲折を経て、最後は思いもしない場面が待ち受けています。ただ単に、惨たらしいだけの話ではありません。
※解説中に、この本に先駆けて、この本同様に序盤のショッキングな場面で読者の目を釘付けにし、先を追わずにいられなくしてしまう何冊かが紹介されています。これには私も全く同意見で、ぜひにも読んでほしいと思う作品ばかりです。それらを載せておきます。
1.切り裂きジャックの告白 (私が初めて中山七里を知った本)
2.連続殺人鬼カエル男 (なんておもしろい! 寝ずに読みました)
3.連続殺人鬼カエル男ふたたび (同上)
4.護られなかった者たちへ (現代社会を抉る著者の最高傑作! 映画にもなりました )
この本を読んでみてください係数 80/100

◆中山 七里
1961年岐阜県生まれ。
花園大学文学部国文科卒業。
作品 「切り裂きジャックの告白」「七色の毒」「さよならドビュッシー」「闘う君の唄を」「嗤う淑女」「魔女は甦る」「連続殺人鬼カエル男」「護られなかった者たちへ」他多数
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