『赤い部屋異聞』(法月綸太郎)_書評という名の読書感想文

公開日: : 最終更新日:2024/01/05 『赤い部屋異聞』(法月綸太郎), 作家別(な行), 書評(あ行), 法月綸太郎

『赤い部屋異聞』法月 綸太郎 角川文庫 2023年5月25日初版発行

ミステリ界随一 名手の超絶技巧!  江戸川乱歩、ジョン・コリア、都築道夫・・・ 古今東西の傑作ミステリを再構築。オマージュの概念を塗り替える、ミステリ愛読者必読の全9篇!

K氏には人目をはばかる趣味がある。同士と共に面白半分に解剖を見学したり、降霊術を実践したりと、モラルに反する遊戯にふけっているのだ。しかし新顔のT氏は、それらを一笑に付した。自分が行うのは、正真正銘の人殺し。しかも、99人の命を徒に奪っておきながら少しも罪に問われないと言うのだ - 。江戸川乱歩の名篇 「赤い部屋」 にさらなる捻りを加えた表題作はじめ、古今東西の傑作推理小説をオマージュした瞠目の全9篇! (角川文庫)

本を読み出したのは高校生になってすぐの頃でした。癖になり、それが今でも続いています。駅前にある小さな本屋で初めて買ったのは、春陽文庫から出ていた 「江戸川乱歩全集」 の中の一冊でした。ピンクがかったグロテスクでエロチックかつ幻想的な表紙とそれにたがわぬ内容に魅了され、おそらく全集すべてを読みました。「推理小説」 ばかりを読んで過ごした三年間でした。1970年代のことです。

(この本に関しては) 多少古さは感じるものの、年を取った私には何ら違和感はありません。「ああ、こんな風な文章だったな」と、当時のあれやこれやを思い出し、懐かしくもありました。但し、(情けなく残念なことですが) 私はオマージュされた元の作品をほとんど知りません。

今の、若い人にとってはどうなんでしょう。謎を解明する過程で語られる詳細かつ丁寧な解説は、理解するのに相応の気力が必要で、ややもするとまどろっこしく感じられるかもしれません。もっとストレートに、もっとわかりやすく書いてほしいと思うかもしれません。

さらに案ずるに、果たしてテーマそのものに興味があるかどうかが問題で、江戸川乱歩や都築道夫・・・ そんな作家の名前すら知らないという人にとっては、オマージュもくそもありません。いくら著者による一作毎の解説付とはいえ、読む気が失せてしまわないかが心配です。

※実を言いますと、「赤い部屋」 のことはすっかり忘れています。ひょっとすると、読んだ気でいるだけかもしれません。そんなはずはないと思うのですが、何せ50年も前のことなんで・・・・・・・

この本を読んでみてください係数  80/100

◆法月 綸太郎
1964年島根県松江市生まれ。
京都大学法学部卒業。

作品 「密閉教室」「都市伝説パズル」「生首に聞いてみろ」「頼子のために」「一の悲劇」「キングを探せ」「ノックス・マシン」他多数

関連記事

『霧/ウラル』(桜木紫乃)_書評という名の読書感想文

『霧/ウラル』桜木 紫乃 小学館文庫 2018年11月11日初版 北海道最東端・根室は、国境の町で

記事を読む

『ダンデライオン』(中田永一)_書評という名の読書感想文

『ダンデライオン』中田 永一 小学館 2018年10月30日初版 「くちびるに歌を」 以来7年ぶり

記事を読む

『田舎の紳士服店のモデルの妻』(宮下奈都)_書評という名の読書感想文

『田舎の紳士服店のモデルの妻』宮下 奈都 文春文庫 2013年6月10日第一刷 東京から夫の故郷に

記事を読む

『あなたの不幸は蜜の味』(辻村深月ほか)_書評という名の読書感想文

『あなたの不幸は蜜の味』辻村深月ほか PHP文芸文庫 2019年7月19日第1版

記事を読む

『藍の夜明け』(あさのあつこ)_書評という名の読書感想文

『藍の夜明け』あさの あつこ 角川文庫 2021年1月25日初版 ※本書は、2012

記事を読む

『往復書簡』(湊かなえ)_書評という名の読書感想文

『往復書簡』湊 かなえ 幻冬舎文庫 2012年8月5日初版 高校教師の敦史は、小学校時代の恩師の依

記事を読む

『妖の掟』(誉田哲也)_書評という名の読書感想文

『妖の掟』誉田 哲也 文春文庫 2022年12月10日第1刷 ヤクザ×警察×吸血鬼

記事を読む

『いつか、アジアの街角で』(中島京子他)_書評という名の読書感想文

『いつか、アジアの街角で』中島 京子他 文春文庫 2024年5月10日 第1刷 あの街の空気

記事を読む

『村田エフェンディ滞土録』(梨木香歩)_書評という名の読書感想文

『村田エフェンディ滞土録』梨木 香歩 新潮文庫 2023年2月1日発行 留学生・村

記事を読む

『うさぎパン』(瀧羽麻子)_書評という名の読書感想文

『うさぎパン』瀧羽 麻子 幻冬舎文庫 2011年2月10日初版 まずは、ざっとしたあらすじを。

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

『闇祓 Yami-Hara』(辻村深月)_書評という名の読書感想文

『闇祓 Yami-Hara』辻村 深月 角川文庫 2024年6月25

『地雷グリコ』(青崎有吾)_書評という名の読書感想文 

『地雷グリコ』青崎 有吾 角川書店 2024年6月20日 8版発行

『アルジャーノンに花束を/新版』(ダニエル・キイス)_書評という名の読書感想文

『アルジャーノンに花束を/新版』ダニエル・キイス 小尾芙佐訳 ハヤカ

『水たまりで息をする』(高瀬隼子)_書評という名の読書感想文

『水たまりで息をする』高瀬 隼子 集英社文庫 2024年5月30日

『黒牢城』(米澤穂信)_書評という名の読書感想文

『黒牢城』米澤 穂信 角川文庫 2024年6月25日 初版発行

→もっと見る

  • 3 にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
PAGE TOP ↑