『私の友達7人の中に、殺人鬼がいます。』(日向奈くらら)_書評という名の読書感想文

『私の友達7人の中に、殺人鬼がいます。』日向奈 くらら 角川ホラー文庫 2020年12月25日初版

某県の山麓に集まった少年少女7人。彼らには差出人不明のメールが届いていた。山に登れば、1年前の死の真相がわかるという。7人の脳裏にあの日の悪夢が甦る。仲良し8人で、受験勉強の気分転換に登山をしたのだが、1人が行方不明に・・・・・・・。残された7人は疑われ、誹謗中傷を浴びた。陰惨な記憶を振り払い山を登る7人。翌朝、山小屋で目覚めた彼らが見たのは、物干し竿で貫かれ、焚き火で丸焼きにされた死体だった・・・・・・・。(角川ホラー文庫)

主な登場人物紹介

木下綾乃  奥手な女子高生。一年前の事件以来、複数の人格を持つように。
小山悠馬  大人びた雰囲気。一匹狼タイプ。
弓削颯太  不良っぽい見た目だが臆病な性格。
市川玲奈  双子の姉。やや醒めたところがあり、勝ち気な性格。
市川玲央  双子の妹。おとなしく目立たないタイプ。
井上香織  エキゾチックな美人だが、ヒステリックな一面がある。
三浦 晃  文武両道のイケメン。発言力があり、みんなからの信頼も厚い。
松原晴美  グループの中心的存在だった。一年前、岩宮山で行方不明に。

三日前のことでした。綾乃のスマホに登録されていない電話番号から一通のショートメールが届きます。

木下綾乃さんへ

八月一日の正午に、岩宮山の麓にある駐車場に来てください。
そして、あのときの仲間たちと、あのときと同じように、一緒に山を登ってください。
松原晴美さんの死の真相がわかるはずです。

                           「名無しより

岩宮山の麓にある駐車場に到着すると、運転してきた松原壮一は子供たちを先に降ろし、最後にバンから降りた。

「ここからはみなさんで行ってください」
松原は7人の子供たちに向かって深々と頭を下げた。

「おじさんは行かなくてもいいんですか? 」 最初に口を開いたのは、小山悠馬だった。
「おじさんにもあのメールが来たんですよね? 山を登るようにって」

松原は悠馬を下から見上げた。
「頼みます! わたしはどうあってもあの山に登ることができません。晴美が死んだあの山には・・・・・・・。どうかわかってください! 」 晴美の父・壮一は苦し気にそう言ったのでした。

ちょうど一年前、中学三年の夏、小山悠馬、弓削颯太、三浦晃、市川玲奈、玲央、井上香織、そして、木下綾乃と松原晴美を加えた八人は、岩宮山の七合目付近にある山小屋を目指して山を登った。その山小屋の所有者は、三浦晃の親戚だった。
(中略)
岩宮山はさほど高い山ではない。ピクニック気分の登山だったが、突如やってきた嵐のために下山できなくなってしまった。そのため、山小屋で一泊することを余儀なくされた。山小屋には外部と通信する手段がなかった。それぞれのスマホは電波が通じず、未成年が親に連絡できないとあれば心配されるだろうが、たった一日だけのことだと、みんな気楽に構えていた。

翌朝、日の出とともに目を覚ますと、誰もが予想もしていなかったことが待っていた。
松原晴美がいなくなっていたのだ。(本文より)

話はここからです。このあと、高校一年生の男女7人による騙し合い、殺し合いが始まってゆきます。

※ところで、みなさんは同じ著者の 『私のクラスの生徒が、一晩で24人死にました。』 という作品をご存じでしょうか? あれも中々でしたが、この作品もツッコミどころが満載で、よくぞ本になったものだと (ある意味) 感心しています。敢えて言いますが、怖くも何ともありません。(残念! )

この本を読んでみてください係数 70/100

◆日向奈 くらら
埼玉県在住。イチゴミルク好き。(あとは不明)

作品 「私のクラスの生徒が、一晩で24人死にました。」

関連記事

『十六夜荘ノート』(古内一絵)_書評という名の読書感想文

『十六夜荘ノート』古内 一絵 中公文庫 2017年9月25日初版 英国でこの世を去った大伯母・玉青

記事を読む

『ひと呼んでミツコ』(姫野カオルコ)_書評という名の読書感想文

『ひと呼んでミツコ』姫野 カオルコ 集英社文庫 2001年8月25日第一刷 彼女はミツコ。私立薔薇

記事を読む

『消えない月』(畑野智美)_書評という名の読書感想文

『消えない月』畑野 智美 集英社文庫 2023年11月10日 14版発行 追う男、追われる女

記事を読む

『スメル男 (新装版)』(原田宗典)_書評という名の読書感想文

『スメル男 (新装版)』原田 宗典 講談社文庫 2021年1月15日第1刷 「腐っ

記事を読む

『フォルトゥナの瞳』(百田尚樹)_書評という名の読書感想文

『フォルトゥナの瞳』百田 尚樹 新潮文庫 2015年12月1日発行 幼い頃に家族を火事で失い天涯孤

記事を読む

『爪と目』(藤野可織)_書評という名の読書感想文

『爪と目』藤野 可織 新潮文庫 2016年1月1日発行 はじめてあなたと関係を持った日、帰り際

記事を読む

『偽りの春/神倉駅前交番 狩野雷太の推理』(降田天)_書評という名の読書感想文

『偽りの春/神倉駅前交番 狩野雷太の推理』降田 天 角川文庫 2021年9月25日初版

記事を読む

『絶叫委員会』(穂村弘)_書評という名の読書感想文

『絶叫委員会』穂村 弘 ちくま文庫 2013年6月10日第一刷 「名言集・1 」 「俺、砂糖入れ

記事を読む

『彼女は頭が悪いから』(姫野カオルコ)_書評という名の読書感想文

『彼女は頭が悪いから』姫野 カオルコ 文藝春秋 2018年7月20日第一刷 (読んだ私が言うのも

記事を読む

『死刑について』(平野啓一郎)_書評という名の読書感想文

『死刑について』平野 啓一郎 岩波書店 2022年6月16日第1刷発行 死刑を存置

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

『ケモノの城』(誉田哲也)_書評という名の読書感想文

『ケモノの城』誉田 哲也 双葉文庫 2021年4月20日 第15刷発

『嗤う淑女 二人 』(中山七里)_書評という名の読書感想文

『嗤う淑女 二人 』中山 七里 実業之日本社文庫 2024年7月20

『闇祓 Yami-Hara』(辻村深月)_書評という名の読書感想文

『闇祓 Yami-Hara』辻村 深月 角川文庫 2024年6月25

『地雷グリコ』(青崎有吾)_書評という名の読書感想文 

『地雷グリコ』青崎 有吾 角川書店 2024年6月20日 8版発行

『アルジャーノンに花束を/新版』(ダニエル・キイス)_書評という名の読書感想文

『アルジャーノンに花束を/新版』ダニエル・キイス 小尾芙佐訳 ハヤカ

→もっと見る

  • 3 にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
PAGE TOP ↑