『戦争童話集 完全版』(野坂昭如)_書評という名の読書感想文

『戦争童話集 完全版』野坂 昭如 中公文庫 2025年4月25日 初版発行

野坂昭如 没後10年 「沖縄篇 2篇を増補した完全版 

昭和二十年、八月十五日 - すべて同じ書き出しで始まるのは、忘れてはならない物語。空襲下の母子を描く凧になったお母さんをはじめ、鎮魂の祈りをこめて綴られた十二篇に、沖縄戦の悲劇を伝えるウミガメと少年」 「石のラジオを増補した完全版。(中公文庫)

作家・野坂昭如 (あきゆき) (1930 ~ 2015) の 『戦争童話集』 が完全版として刊行された。「凧 (たこ) になったお母さん」 など12編に、沖縄戦が題材の 「ウミガメと少年」 「石のラジオ」 を加えた。

野坂は、戦後に栄養失調で亡くなった義妹をモデルとした直木賞受賞作 『火垂 (ほた) るの墓』 で知られ、やさしい筆致で戦争のむごさを書き続けた。

収録作はどれも 「昭和二十年、八月十五日」 と始まる。71年に雑誌 「婦人公論」 で連載し、75年に単行本化。文庫と合わせて16万7千部が発行された。追加の2編は、画家の黒田征太郎さんが 「沖縄の話も」 と野坂を説得し、2000年以降に黒田さんの絵で絵本になった。中央公論新社は、野坂没後10年の今年、絵本を出した講談社に交渉し、許諾を得た。

担当した編集者の三浦由香子さんは 「『沖縄を捨て石にした』」 との強い負い目からためらう野坂さんを、黒田さんが猛プッシュしたと聞く。戦後80年の今年、沖縄で起きたことを知るきっかけにもなれば」 と話している。(伊藤宏樹)=朝日新聞2025年7月5日掲載 (好書好日/ 「(本の舞台裏) 野坂昭如 「戦争童話集」 没後10年に加えた沖縄の話」 より)

※『火垂るの墓』 は、何度観たことか。夏になると決まってTV放映があり、(繰り返し観ているので大概内容は覚えているのですが) 偶然目にするともう止められません。毎回泣くところでまた泣いて、ラストで号泣している私は、いま孫が四人います。彼らがもう少し大きくなってこの映画を観たら、四人も私みたいに泣くでしょうか。

この本を読んでみてください係数 85/100

◆野坂 昭如
1930年神奈川県生まれ。親戚の養子となり神戸に育つ。
旧制新潟高校から早稲田大学第一文学部仏文科に進むが、57年中退。

CMソング作詞家、放送作家などさまざまな職を経て、63年 「エロ事師たち」 で作家デビュー。68年 「アメリカひじき」 「火垂るの墓」 で直木賞、97年 『同心円』 で吉川英治文学賞、2002年 『文壇』 およびそれに至る文業で泉鏡花文学賞を受賞。そのほか 『骨餓身峠死人葛』 『一九四五・夏・神戸』 など多くの著書がある。2015年 (平成27年) 死去。

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