『スピーチ』(まさきとしか)_書評という名の読書感想文

『スピーチ』まさき としか 幻冬舎 2025年9月25日 第1刷発行

息子への愛は、私の背骨を貫いている」 累計50万部突破。あの日、君は何をした最新シリーズ始動

川岸で見つかった女性の遺体。犯人は--私の息子だ。殺人犯の母が残した手記、それは最愛の息子への決死の応援演説。

札幌、豊平川の川岸で見つかった女性の遺体。“寄り添い型“ の刑事、天道環奈と、その上司であり、“人の不幸が見たい“ 緑川ミキは事件を追う。黒い粘着テープで両目を塞がれた物言わぬ彼女に、あの夜、一体何があったのか。飲み会帰りかもしれない、不倫をしていたのかもしれない。夫もパート仲間も、本当の彼女のことを何もしらない。しかし - 。人には誰にも “言い分“ がある。被害者にも - 犯人にも。(幻冬舎)

当たり前といえば当たり前なのですが、読んで改めて思うのは 「人の気持ちはそう簡単にはわからない」 ということです。見て、知っているのはその人のある一面で、それを根拠にとやかく言うのは如何にも危険だと。あの人からは良く思われていると思う相手に、もしかすると、私はずっと嫌われていたのかもしれません。長い間、私は大きな思い違いをしていたのではないだろうかと。そんなことを考えました。

物語は2人の女性バディの捜査を軸に進みつつ、ある母親の手記が所々にインサートされていく。その手記では、息子が2つの事件の犯人であると告白していた。そして息子が連続殺人事件を起こしたと知った母親の胸中や事件の背景が事細かに書かれていた。読者はこう思う。このまま、捜査の手が息子に迫るのだ、と。やがて、15年前の幼女失踪事件との関連も浮上して・・・・・・・。

本作には手記、告白、自白、自供と、さまざまな人がそれぞれの立場から発する言葉 (=スピーチ が紡がれていくのだが、読むにつれて、それが誰の言葉で、どれが真実なのかがしだいに曖昧になっていく。そして、まさか、まさかの果てにたどり着いた真相。この まさかとしか沼にハマる覚悟で読んでほしい! (「幻冬舎 Plus」 より)

※422ページある長編は、最初、割と淡々と進んでいきます。待ちかねた新刊でしたが、やや著者らしさに欠けるというか、食いつきが弱いというか、期待した分残念な気持ちにもなりかけたのですが、読み終えた今になって思うとそれが大きな間違いで、終盤に至る大いなる伏線だったことがわかります。結末は “半端“ ではありません。あなたの予想の、はるか上にあります。

この本を読んでみてください係数 85/100

◆まさき としか
1965年東京都生まれ。北海道札幌市育ち。

作品 「夜の空の星の」「完璧な母親」「いちばん悲しい」「熊金家のひとり娘」「あの日、君は何をした」「祝福の子供」「彼女が最後に見たものは」「あなたが殺したのは誰」「レッドクローバー」他多数

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