『スナーク狩り』(宮部みゆき)_書評という名の読書感想文

『スナーク狩り』宮部 みゆき 光文社文庫プレミアム 2025年3月30日 13刷発行

怪物を追う者はいつしか自らが怪物と化していた!

その夜 - 。関沼慶子は散弾銃を抱え、かつて恋人だった男の披露宴会場に向かっていた。すべてを終わらせるために。一方、釣具店勤務の織口邦男は、客の慶子が銃を持っていることを知り、ある計画を思いついていた。今晩じゅうに銃を奪い、「人に言えぬ目的」 を果たすために。いくつもの運命が一夜の高速道路を疾走する。人間の本性を抉るノンストップ・サスペンス! (光文社文庫)

この小説は (解説の冒頭にある、以下の 「詩」 に準えて) 誰かの何かを、何かに譬えて語ろうとしています。「怪物」 は、なにも 「他人」 だけではありません。

口にしようとしたその言葉の途中で
 歓喜の笑い声の途中で 
ベイカーはひっそりかついきなり消え失せたのだ -
 そう、かのスナークはブージャムだったのさ

      ルイス・キャロル 『スナーク狩り』 高橋康也訳より

怪物と闘う者は、自らも怪物とならぬよう心せよ。深淵をじっと見つめるとき、深淵もまたこちらを見つめている。
      フリードリヒ・ニーチェ 『善悪の彼岸』 より

- そして誰かが誰かに宛てた手紙

そうそう、スナーク狩り というお話しを知っていますか? これも修治さんから聞いたんです。ルイス・キャロルという人の書いた、とてもおかしな、長い詩のようなものなんですけど。スナークというのは、そのなかに出てくる、正体のはっきりしない怪物の名前なんです。

そして、それを捕まえた人は、その瞬間に、消えてなくなってしまうんです。ちょうど、影を殺したら、自分も死んでしまったという、あの怖い小説みたいに。(P393 本文より)

※付け加えると、この物語は高速道路を利用して東京~金沢間を疾走する、一夜限りの 「ロードノベル」 かつ 怒濤の 「ノンストップ・サスペンス」 であるということ。ただの復讐劇ではありません。

この本を読んでみてください係数 85/100

◆宮部 みゆき
1960年東京都江東区生まれ。
東京都立墨田川高等学校卒業。

作品 「我らが隣人の犯罪」「火車」「蒲生邸事件」「理由」「模倣犯」「名もなき毒」「過ぎ去りし王国の城」「今夜は眠れない」他多数

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