『世界でいちばん透きとおった物語』(杉井光)_書評という名の読書感想文

『世界でいちばん透きとおった物語』杉井 光 新潮文庫 2023年7月15日 9刷

王様のブランチ で超話題!! 10万部突破!! 衝撃のラストにあなたの見る世界は透きとおる紙の本でしか体験できない感動がある!

大御所ミステリ作家の宮内彰吾が死去した。宮内は妻帯者ながら多くの女性と交際し、そのうちの一人と子供までつくっていた。それが僕だ。「親父が 『世界でいちばん透きとおった物語』 という小説を死ぬ間際に書いていたらしい。何か知らないか」 宮内の長男からの連絡をきっかけに始まった遺稿探し。編集者の霧子さんの助言をもとに調べるのだが・・・。予測不能の結末が待つ、衝撃の物語。(新潮文庫)

帯に 「絶対に予測不能な衝撃のラストネタバレ厳禁! 」 とあります。

確かに、「衝撃」 は 「衝撃」 に違いないのですが、“普通によくある“ 衝撃ではありません。一味も二味も違う、いうなれば 「優れて知的な」 とでもいえばよいのでしょうか。答えは、読めば必ずわかります。なるほどと、深く頷くことでしょう。

(ネタバレしないように) 大外からいくつかヒントを出しておきましょう。

ヒント:その1

藤阪燈真 (ふじさか・とうま) =「僕」 は10歳のときにかなり重い病気にかかり、検査漬けの入院生活の末、かなり難しい脳外科手術を受けることになります。手術はうまくいくのですが、しばらくの間、目が完全に見えなくなってしまいます。しかし、幸いにも重篤なものではなくじきに戻る、と医者は言ったのでした。

二週間ほどたって、目が見えるようになってきます。ところが後遺症が残り、本を読んでいると目がちかちかしてつらくなります。日常生活ではさほど支障はないのですが、読書のときに困ります。

不思議なことに、PCやスマホの画面で文字を読んでも目の負担にはなりません。電子書籍を試してみると、問題なく読むことができます。紙の本の方がずっと好きだったのですが、背に腹は代えられません。

ヒント:その2 「可読性

『文章の可読性とは読みやすさに他ならない。読みやすい文章は、理解や記憶が容易で読む速度が速く、しかも連続して長く読み続けられることが、研究で示されている。読みやすさとは、文章と読者の相互作用の結果である。文章においては (1) 内容、(2) 文体、(3) デザイン、(4) 構造、が影響する。デザインには、媒体のレイアウト、イラスト、書体や色などが含まれる。 』 (出典:Wikipedia 可動性より)

ヒント:その3

尊敬する作家:京極夏彦 

※それでは本編を。乞うご期待!!

この本を読んでみてください係数 85/100

◆杉井 光
1978年東京都稲城市生まれ。

作品 電撃小説大賞の銀賞を受賞し、2006年 「火目の巫女」 でデビュー。「神様のメモ帳」 シリーズ 「楽園ノイズ」「終わる世界のアルバム」「蓮見律子の推理交響楽 比翼のバルカローレ」など

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