『村でいちばんの首吊りの木』(辻真先)_書評という名の読書感想文

『村でいちばんの首吊りの木』 辻 真先 実業之日本社文庫 2023年8月15日 初版第1刷発行

隠れた名作初文庫化 たくらみに満ちた辻マジックが冴える 著者ベスト級の傑作ミステリ!

母から息子への痛切な願い 手紙に秘められた真相は!?

手首を切断された女の死体を名古屋の下宿に残して長男が失踪。事件の第一発見者は、奥飛騨の寒村から長男を訪ねてきた母親だった。息子の無実を訴える母と、大学受験を控えた次男との間で交わされる手紙が、やがて驚愕の真実を浮き彫りに・・・・・・・。著者ベスト級の呼び声高い表題作ほか、騙りの技巧を凝らした中編三本を収録。極上の本格ミステリ集! 対談/阿津川辰海 (実業之日本社文庫)

単行本は1986年4月、中央公論社から 『旅路 村でいちばんの首吊りの木』 の書名で刊行。本の中身は - はじめ三つが小説で、あっという間に読めてしまいます。各作品共にほど良い長さで、とにかく読みやすい。スイスイ読めて、思わず 「うまい! 」 と唸る、(中編の) お手本のような作品です。ぜひ手に取ってみてください。

[目次]
村でいちばんの首吊りの木
街でいちばんの幸福な家族
島でいちばんの鳴き砂の浜
・大人でいちばんの子供の私
(あとがきA あとがきB あとがきC)

・特別対談 辻 真先×阿津川辰海 (小説家)

※辻 真先は、日本のアニメ・特撮脚本家、推理作家、漫画原作者、旅行評論家、エッセイスト、デジタルハリウッド大学名誉教授。1932年3月23日生まれで、御年91歳。最も好きな漫画は 『ジャングル大帝』 で、脚本を担当した作品は - エイトマン、鉄腕アトム、宇宙少年ソラン、オバケのQ太郎、スーパージェッター - などをはじめ数知れず。 アニメもさることながら著作もまた膨大で、中で特筆すべきが 「村でいちばんの首吊りの木」。著者40歳代の作品です。

この本を読んでみてください係数 80/100

◆辻 真先
1932年愛知県名古屋市生まれ。
名古屋大学文学部卒業。

作品 「仮題・中学殺人事件」「アリスの国の殺人」「完全恋愛」(牧薩次名義)「たかが殺人じゃないか 昭和24年の推理小説」他多数

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