『検事の死命』(柚月裕子)_書評という名の読書感想文

『検事の死命』柚月 裕子 角川文庫 2019年6月5日8版

検事の死命 (角川文庫)

電車内で女子高生に痴漢を働いたとして会社員の武本が現行犯逮捕された。武本は容疑を否認し、金を払えば示談にすると少女から脅されたと主張。さらに武本は県内有数の資産家一族の婿だった。担当を任された検事・佐方貞人に対し、上司や国会議員から不起訴にするよう圧力がかかるが、佐方は覚悟を決めて起訴に踏み切る。権力に挑む佐方に勝算はあるのか (「死命を賭ける」)。正義感あふれる男の執念を描いた、傑作ミステリー。(角川文庫)

[目次]
第一話 心を掬う
第二話 業をおろす
第三話 死命を賭ける 「死命刑事部編
第四話 死命を決する 「死命公判部編

『最後の証人』 『検事の本懐』 と続く佐方貞人シリーズ・第3作 『検事の死命』 を読みました。

これで終わりかと思うと残念でなりません。ずっとずっと読んでいたかった。忘れられないシリーズとなりました。

シリーズ最終となる本作は、前作 『検事の本懐』 と同じく佐方が検事として関わった事件の謂わば “集大成” となる作品です。『検事の本懐』 から1、2年後、30歳の頃の佐方の姿が描かれています。

前作までのおさらいをするように最初二編の短編があり、第三話、第四話と続く中編 「死命」 では、いよいよこの物語の佳境と言える場面を迎えます。

おそらく佐方は、並々ならぬ覚悟の上であったのでしょう。「罪をいかにまっとうに裁かせるか」 それだけを考え、それのみに命を賭しています。時に青臭いと言われ、検事としての身分までをも蔑ろにするような彼の信条とは? 正義とは何なのでょう?

佐方は、第三話から第四話にかけての途中で刑事部から公判部へ異動となり、検事として実際に裁判に臨むことになります。法廷に立つ彼が初めて扱ったのが、ある “痴漢” 事件でした。

電車内における痴漢行為により迷惑防止条例違反の容疑で逮捕された武本弘敏という男が送致されてきた。イベント会場行きのごったがえした電車内で女子高生・仁藤玲奈の臀部を触ったとされていたが、本人は一貫して犯行を否認。しかも玲奈から、「お金を払えば無かったことにしてやる」 とまで言われたと話す。被害者側にも話を聞くが、言い分は真っ向から対立。素行が悪く決して裕福ではない玲奈と、由緒ある家に(婿として)入り、政治家や法曹界の重鎮などの後ろ盾も強い武本。どちらかが嘘をついているのは明白だが、捜査を続けた佐方はついに、武本を起訴することを決める。しかし上からは決して決済印を押さないと言われ起訴は難航。だが米崎東署の南場の応援や筒井の案により、ついに公判に持ち込むことができた佐方は、検事としての死命を賭けて法廷に立つ。(wikipediaより)

※佐方がいるのは米崎地方検察庁。米崎東署署長の南場は、以前仕事で佐方に助けられたことがあります。米崎地検刑事部副部長の筒井は佐方の上司で、誰よりも心強い佐方の味方です。

佐方が優秀な検事なら、武本を弁護する井原もまた百戦錬磨の弁護士で、二人は互いに主張を譲らず、相手の論旨が甘いとなると容赦なくその点を突きます。結審するかと思いきや、井原は新たに証人が出たといい、証人として出廷した半田からは事件当日の詳細な目撃証言がなされるに及んで、もはやここまでかと思わせたその次の場面・・・・・・・

半田に対し、佐方は思いもかけない反撃を仕掛けます。

この本を読んでみてください係数 85/100

検事の死命 (角川文庫)

◆柚月 裕子
1968年岩手県生まれ。

作品 「臨床真理」「最後の証人」「検事の本懐」「蝶の菜園 - アントガーデン -」「パレードの誤算」「朽ちないサクラ」「ウツボカズラの甘い息」「孤狼の血」他多数

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