『私が殺した少女』(原尞)_書評という名の読書感想文
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最終更新日:2018/03/11
『私が殺した少女』(原尞), 作家別(は行), 原尞, 書評(わ行)
『私が殺した少女』 原 尞 早川書房 1989年10月15日初版
私立探偵沢崎の事務所に電話をしてきた依頼人は、面会場所に目白の自宅を指定していた。沢崎はブルーバードを走らせ、依頼人の邸宅へ向かう。だが、そこで彼は、自分が思いもかけぬ誘拐事件に巻き込まれていることを知る・・・・・・・緻密なストーリー展開と強烈なサスペンスで独自のハードボイルド世界を確立し、日本の読書界を瞑目させた直木賞・ファルコン賞受賞作。(「BOOK」データベースより)
完成までに1年半、原尞二作目の大傑作。ハードボイルド探偵小説の極みといえる一冊です。ぜひとも堪能してみてください。
物語は、こんな書き出しで始まります。ここからすでにハードボイルドで、先が読みたくてたまらなくなります。
午前中に受けた電話での依頼。私は、西新宿のはずれにある事務所を出て依頼人の自宅がある目白へ愛車のブルーバードを走らせる。指定された時間に遅れないように、靖国通りから明治通りへ左折した。道路は混まず、車はいつになく快調だった・・・・・・・だが、私のツキもそこまでだった。まるで拾った宝くじに当たったように不運な一日は、その電話で始まったのだ・・・・・・・
※90年2月に11刷。文庫化され、それも2013年4月には21刷。遅筆で寡作の人ですが、出れば必ず版を重ねています。
この本を読んでみてください係数 95/100
◆原 尞
1946年佐賀県鳥栖市生まれ。
九州大学文学部美学美術史科卒業。
大学卒業後に上京、フリーのジャズピアニストとして活動の後、帰郷して執筆活動に専念。
作品 「そして夜は甦る」「私が殺した少女」「天使たちの探偵」「さらば長き眠り」「愚か者死すべし」など
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