『Mの女』(浦賀和宏)_書評という名の読書感想文

『Mの女』浦賀 和宏 幻冬舎文庫 2017年10月10日初版


Mの女 (幻冬舎文庫)

ミステリ作家の冴子は、友人・亜美から恋人タケルを紹介される。第一印象からタケルに不穏なものを感じていた冴子は、一通のファンレターを契機に、タケルに不審を抱き、彼の過去を探ることに。するとそこには数多くの死が・・・・・・! そしてその死は着実に冴子と亜美にも近づいていた。逆転に次ぐ逆転。鮮やかに覆っていく真実。これぞミステリの真髄! (幻冬舎文庫)

終盤から結末に至るまでの怒涛のような展開! 逆転に次ぐ逆転! - 考えられるありったけのネタを惜しげもなく見せつけられた - そんな感じがしています。

終わってみて改めて思うと、登場するほぼすべてのキャラクターが、前半とは大きく変化しているのに気付きます。途中まではさほどのことはないのですが、終わる間際になって俄然面白くなります。

タイトルにある「M」- Mとは、メタモルフォーゼのことです。

メタモルフォーゼの女 - これは「冴子」のことではありません。彼女を貶める、物語にはもう一人の女性作家が登場します。作家の名前は、泉堂莉菜(せんどうりな)。彼女はベリーショートの、とても美しいジャーナリストです。

西野冴子と泉堂莉菜。つまるところこの話は - プライドは高いがさほど売れてはいないミステリ作家と、彼女を踏台にさらなるベストセラーを生み出そうと画策するノンフィクション作家の - 繰り返される「裏のかきあい」、行き着く果てまでの「泥仕合」が綴られています。

(果たしてどちらが勝者といえるのか)、その顛末をとくと御覧ください。

 

この本を読んでみてください係数 80/100


Mの女 (幻冬舎文庫)

◆浦賀 和宏
1978年神奈川県生まれ。

作品 「記憶の果て」「彼女は存在しない」「眠りの牢獄」「こわれもの」「ファントムの夜明け」「ifの悲劇」「緋い猫」他多数

関連記事

『EPITAPH東京』(恩田陸)_書評という名の読書感想文

『EPITAPH東京』恩田 陸 朝日文庫 2018年4月30日第一刷 EPITAPH東京 (朝

記事を読む

『いちご同盟』(三田誠広)_書評という名の読書感想文

『いちご同盟』三田 誠広 集英社文庫 1991年10月25日第一刷 いちご同盟 (集英社文庫)

記事を読む

『生きてるだけで、愛。』(本谷有希子)_書評という名の読書感想文

『生きてるだけで、愛。』本谷 有希子 新潮文庫 2009年3月1日発行 生きてるだけで、愛。

記事を読む

『星の子』(今村夏子)_書評という名の読書感想文

『星の子』今村 夏子 朝日新聞出版 2017年6月30日第一刷 星の子 林ちひろは中学3年生

記事を読む

『それを愛とまちがえるから』(井上荒野)_書評という名の読書感想文

『それを愛とまちがえるから』井上 荒野 中公文庫 2016年3月25日初版 それを愛とまちがえ

記事を読む

『まずいスープ』(戌井昭人)_書評という名の読書感想文

『まずいスープ』戌井 昭人 新潮文庫 2012年3月1日発行 まずいスープ (新潮文庫)

記事を読む

『おらおらでひとりいぐも』(若竹千佐子)_書評という名の読書感想文

『おらおらでひとりいぐも』若竹 千佐子 河出書房新社 2017年11月30日初版 おらおらでひ

記事を読む

『その話は今日はやめておきましょう』(井上荒野)_書評という名の読書感想文

『その話は今日はやめておきましょう』井上 荒野 毎日新聞出版 2018年5月25日発行 その話

記事を読む

『愛の夢とか』(川上未映子)_書評という名の読書感想文

『愛の夢とか』川上 未映子 講談社文庫 2016年4月15日第一刷 愛の夢とか (講談社文庫)

記事を読む

『 A 』(中村文則)_書評という名の読書感想文

『 A 』中村 文則 河出文庫 2017年5月20日初版 A (河出文庫) 「一度の過ちもせ

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

『リリース』(古谷田奈月)_書評という名の読書感想文

『リリース』古谷田 奈月 光文社 2016年10月20日初版 リ

『ユートピア』(湊かなえ)_書評という名の読書感想文

『ユートピア』湊 かなえ 集英社文庫 2018年6月30日第一刷

『暗幕のゲルニカ』(原田マハ)_書評という名の読書感想文

『暗幕のゲルニカ』原田 マハ 新潮文庫 2018年7月1日発行

『もう「はい」としか言えない』(松尾スズキ)_書評という名の読書感想文

『もう「はい」としか言えない』松尾 スズキ 文藝春秋 2018年6月3

『あこがれ』(川上未映子)_書評という名の読書感想文

『あこがれ』川上 未映子 新潮文庫 2018年7月1日発行 あこ

→もっと見る

  • 3 にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
PAGE TOP ↑